【鬼滅の刃】煉獄さんの姉に転生したら悪女に文句を付けられた件について。

【弐拾玖】葬式の後で。 ページ38

夢主side

瑠火さんの葬式は、速やかに行われた。

……事後現場に、抵抗の後は無かったと。
傷から見るに、何か鋭利な物で刺されたと。
…一人だけ、心当たりがある。

私に恨みを持つ、イレギュラーになり得る人物。

────なんでアンタなんかが！！

……転生者なのだろう、私と同じ。
だから錆兎が死ぬ事を知っていたし、私という人物が本来存在しない事を知っていた。

見た感じ、逆ハー目的なのだろう。

それを私に尽く邪魔されたから、あんなに私を憎んでいるのだろう。

最終選別の帰り道も、｢私が助けるべきだった｣
｢この役立たず｣と散々文句を言われた。
……それだけで？
たったそれだけの理由で、瑠火さんを、私の、大切な人を、コロシタ？？

…………ふざけるなよ。

けれど、確証が持てない限りは迂闊に手を出すことが出来ない。
私という異物がいた事でのイレギュラーという事も十分有り得るのだから。

…即ち、今の私に出来る事は何も無い。

……私が殺したの同然だろう。
私がいたから、瑠火さんが死んだ。
私がいなければ、瑠火さんは死ななかった。



私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が









私さえ、居なくなれば。






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杏寿郎side

……母上の葬式が終わって、一週間が経った。

家の中は酷い有様だった。
父上は酒に溺れ憔悴しきり、千寿郎はいつもいなくなった母を探して泣き叫んでいる。

……俺も、泣いた。

泣いて鳴いて啼いて、己の無力さを呪った。

けれども、そんな中でも姉上はいつも冷静だった。

『杏寿郎、仏壇に贈り物を供えよう』

『千寿郎、千寿郎。
大丈夫、姉上がついているよ』

『父上、鬼殺隊本部から手紙が届いております』

一時も休まず、親戚の相手や葬式の後片付けをたった一人で率先してやっていた。


ふと、思った。






……姉上は、いつ泣いているのだろう。
俺達に見せる顔はいつも慈しむような優しい表情ばかりで、俺は涙の一粒すら見た事が無い。



今回もそうだ、無表情ではあるものの泣き声の一つすらあげない。


『杏寿郎と千寿郎は私が守るよ』


これが姉上の口癖だ。
いつもいつも、俺達弟を大切にしてくれている。



けど、けど。





じゃあ、









姉上の事は、一体誰が守るのだろうか。

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