見てくれる人【4】 ページ38
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「ここにファーつけよっか？」
衣装係の人がメンバー、ひとりひとりについてチェックする。
私の衣装係さんは高橋さん。
「あ、可愛いですね。そこでお願いします」
衣装全体を見ながら私が賛同した。
「女の子はファーをつけるんですね」
私は他の7人の衣装を見渡しながらそう言った。
「男女の違いは入れとかないとね」
高橋さんは作業しながら答えてくれる。
「男女混成ならでは……ってかんじですね」
「そうね。男女グループなんて珍しいからそれを活かさなきゃ。
男らしさ、女らしさ。それが揃ってパフォーマンスをしたときのかっこよさを出したいの。
男女が似たような色合いとか、似たような形の服を着てるのってかっこいいじゃない」
「衣装もパフォーマンスのひとつだって、前言ってましたもんね」
私がそう言うと高橋さんはにっこりと笑った。
「今はこうやって衣装係がいて、大体の形が決まってるけど、いつかは8人がそれぞれ自分で考えられるといいわね」
それぞれ自分で………。
ひとりひとり“こだわり”があって、似合う似合わないもあって。
もともとファッションは好きだし、みんなも全員がおしゃれ。
私たちならできそうな気がする。
「いつかは……やってみたいです」
私が笑って言えば、
「早めに叶うといいわね」
そう応援してくれる。
私たちに付いてくれてるスタッフさんって本当に暖かい人ばかりだ。
「はい、できた！」
黒で統一された、私に似合いそうな形の衣装。
ワンポイントにはファーがついている。
「可愛いです、すっごく！」
「Aちゃんらしいでしょ？」
自信満々にそういう高橋さんはすごい。
だって本当に可愛いし、本当に私らしい。
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作者名：ソルト
| 作成日時：2015年7月26日 22時
