見てくれる人【2】《伊藤Side》 ページ36
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Aと真司郎の会話を聞きながら、ぼんやりと考えていると2人の笑い声が聞こえてきた。
うん、やっぱり仲がいいなぁ。
Aの笑顔を見てた私はなんとなく真司郎のほうへと視線を向けた。
私の目に映ったのは無邪気に笑う真司郎。
私の前ではこんな笑顔しないなぁ。
って、あんま話さないんだから当たり前か。
でも、本当にそうかも。
軽く笑ったり、爽やかに笑う真司郎を見たことはあるけど、あんなに楽しそうに笑う真司郎は見たことがない。
そんな真司郎の笑顔を引き出して、目の前で見ることができているAが少し羨ましかった。
いつか、私にも見せてくれるかな。
見せてほしいな。
いつの間にか、そんなことを願っていた。
しばらくして
「あれ、もうみんな集合してんだ」
ドアが開く音とにっしーの声が聞こえる。
「あれ、西島どこいってたの？」
だっちゃんが起き上がりながら聞いた。
「……ああ、ちょっとスタッフさんのとこ行ってた。出逢いのチカラのことでさ」
「出逢いのチカラ？私も行ったほうがよかった？」
宇野ちゃんがすぐさま反応して聞いた。
そしたらにっしーが首を横に振って。
「でさ、集合っていつまでだっけ？」
「あー………あれ、いつまでだっけ」
「え、誰も覚えてないの？」
「8人もいて！？」
「………45分までだからもうすぐだよ」
Aがため息混じりにそう言った。
なんか、呆れられてるみたいで悔しい。
まあAはしっかりしてるからさすが、ってかんじなんだけどね。
「じゃあそろそろ衣装合わせしよっか」
ドアが開いてスタッフさんの声が聞こえてくる。
ドアを出る前。
「お姉さんとお兄さん、もっとしっかりしてよね？」
Aが意地悪そうに笑いながら言った。
それに怒ってたのはなぜか真司郎だったけれど。
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作者名：ソルト
| 作成日時：2015年7月26日 22時
