動きだす想い【5】《與Side》 ページ18
*
*
*
「なんでそう思うん？」
「……“出逢いのチカラ”あるでしょ？あれを宇野ちゃんとにっしーが歌う時ちょっとかなしそうかなって」
確かにそうかもしれへん。
と思った。
前に一度部屋を出てくところを見たことがあったし、俺と話しているときにも様子がおかしいと思ったことがあったから。
「だけどAは自分の気持ちに気づいてないよ。鈍感なのかな。応援してあげたいんだけど」
「別に後からでもええんやない？」
「……どういうこと？」
「応援するんは、Aが自分の気持ちに気付いてからでもええんやない？
いくら鈍感のAでも、気づくときがあると思うで……って、これ。
なんかAがにっしーを好きって決めつけてるみたいやけど……」
「あ……うん」
千晃は苦笑いをした。けれど次はにこりと笑って、
「私待ってるよ。Aが私に言ってくれるまで。そのときの協力は真司郎もよろしくね」
「え〜俺も？」
「うん。…あ、ついたよ」
丘の上までやっと来て、俺らは空を見上げた。
ふと千晃を見ると、千晃は笑顔やった。
………あれ、千晃ってこんな笑い方するんや。
くしゃりと笑う千晃を見ていると聞こえた声。
「すごいね」
「うん」
宇野ちゃんとにっしー。
2人も夜空を見上げながら話していた。
あれ、宇野ちゃんちょっと顔赤い？
熱でもあるんやろうか。それとも暗くてそう見えるだけ？
ぐるぐる頭を回転させて考えていたものの面倒くさくなってやめる。
それに千晃に呼ばれたし。
「真司郎？戻ろっか」
視線を千晃に戻して俺は頷いた。
また登りと同じように千晃と話しながらタクシーへ戻る。
綺麗やったなあ、星。
………それに。
「あははっ、そうなんだ！」
千晃の新しい顔が見れた気がした。
………なんやろなぁ。
千晃のいろんな顔見てみたい。
千晃のことをもっと知りたい、そう思った。
*
*
*
動きだす想い【6】《西島Side》→←動きだす想い【4】《與Side》
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 905人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ソルト
| 作成日時：2015年7月26日 22時
