出逢いのチカラ【7】《宇野Side》 ページ12
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「にっしーがどうかしたの？」
事情を知らないAが首を傾げて聞いてくる。
別に隠すことでもないから、私は普通に言った。
「出逢いのチカラの打ち合わせが今日からなんだって。
それでにっしーにも伝えなきゃな…って」
「そっか。今日からなんだ…」
Aの様子がまたおかしいと思った私は、今度こそAに聞いた。
「A、なにかあった？」
名前を呼ぶとAはパッと顔を上げて私を見る。
「なんでもないよ。新曲楽しみだね」
何ヶ月も一緒にいるからだろうか、メンバーの表情の変化の細かい部分までわかるようになってきた。
今やっぱりAの様子はおかしいのだけれど、本人が「なんでもない」というのだから仕方ない。
しかも丁度そのとき、
「おはようございまーす」
日高くんと共ににっしーが部屋に入ってきた。
私は今だと思い、彼に駆け寄る。
「にっしーおはよ」
にっしーは驚きながらも「おはよ」と返してくれた。
それだけでも嬉しいと思う私は重症だ。
「宇野。俺にはないの？ 朝の挨拶」
忘れていたわけじゃないけど、そういえば日高くんには挨拶していなかった。
「おはよ、日高くん。
にっしー、出逢いのチカラの打ち合わせ、今日からって知ってた？」
しっかりと日高くんに挨拶をしてから、すぐににっしーに聞く。
「知らなかった。宇野ちゃん、ありがとね」
爽やかに微笑んだにっしーは私の横を通って日高くんと秀太たちがいるほうへ行ってしまった。
自分でも顔が赤くなるのがわかる。
みんなのほうを見ると、にっしーはまた爽やかな笑顔を見せていた。
散々メンバー内恋愛はないって言ってたのに。
まさか私が最初にメンバーを好きになるなんて思ってなかったな。
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作者名：ソルト
| 作成日時：2015年7月26日 22時
