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「あ、あぁ…そうだ伊野尾。俺今日までの用事忘れてた…先帰っててくんね?」

「え、なにそれ?」

「悪いっ、今度絶対にメシ奢るから…!」

「え、ちょっと!」


後ろを振り返らず俺はさっきの裏路地へ向かう。
見て見ぬふりで終われないのは、きっと俺の悪い所。

裏路地につくと、うちの制服を着た奴が壁に寄りかかって座っていた。そう、この黒頭は。


「お前、八乙女か?」

「…げっ、薮…!」


名前を呼ぶと露骨に嫌な顔をしてそのまま走り出した。
補導対象だ、逃がす訳には行かない。俺は何年ぶりかの猛ダッシュで追いかける。

元サッカー部の足を舐めてもらっては困る、鈍っていると思ったが八乙女の腕は案外容易に掴むことが出来た。


「やっ…めろ!離せ!」

「はぁっ…おい…何してんだこんな…時間に…!」


腕をぶん回して振り解こうとしているがそうはさせない。
八乙女をグイッと引き寄せ羽交い締め状態にする。


「……」


八乙女は抵抗できずにそのまま黙り込んでしまった。


「…親御さんは?」

「……」

「家まで送る。このまま大人しく帰れば今日のことは言わないでおいてやるから。」

「………はい…。」


俯いたまま、ただ一言そう返事をする。意外と素直で驚いた。
もう抵抗しないだろうと思い拘束を解くとそのまま力なく手が下がる。


「家どこ?近いの?」

「すぐそこです。…だから送ってもらわなくても大丈夫なんで。」


急な仰々しい態度に困惑するが、このまま帰してしまったら元も子も無い。


「送るって言ってんだよ。また悪さするだろ。」


八乙女は一瞬だけ俺の方を見ると、諦めてそのままゆっくり歩き出した。


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ぴんきー(プロフ) - めるんさん» めるんさん、読んでくださりありがとうございます!ゆっくり更新になってしまうのですがお待ちいただけると嬉しいです(TT) (3月31日 23時) (レス) @page10 id: 4ea6129bdf (このIDを非表示/違反報告)
めるん(プロフ) - 続きが気になります!! (3月25日 16時) (レス) id: d73b125544 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴんきぃ | 作成日時:2024年3月4日 22時

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