7 ページ7
.
家に入った途端、急に現実味を帯びてきた。
白岩が嫌じゃないって、じゃあなって、笑っていた。
その事実に心が温かくなってなんとも言えない感情になった。なんだろうヤンキーが子猫助けた現場目撃したみたいな。……違うか。
勢いのままベッドにダイブして、気持ちを落ち着かせようと枕に顔を埋めた。
わたしが何をしたかは分からないけど、暫くまともな話はしていなかったし、その間彼はわたしのことを嫌っているような態度を見せるばかりだった。なのに、突然。
…彼に何か心境の変化があったのだろうか。
頭の中でぐるぐると考えていると、枕元に置いていたスマホが鳴った。
『っびっくりしたー…………もしもし？』
美「もしもーし、今バイト終わったよ。今何してんの？」
『まって、もうそんな時間！？』
ガバッと勢い良く時計を見ると時計の短針は9をさしていた。
美「……もしかして帰った後ずっと寝てたの？」
『いや、全然……』
少し冷静になって、今日あったことを説明する。
サッカー部を見ていたこと、河野くんに二人でおいでと試合に誘われたこと、……白岩とまともな会話をしたこと。
そして今日を振り返っていたらこんな時間になってしまっていた、と事細かに美彩に説明する。
美「それ本当？」
『うん』
美「良かったじゃん、A！日曜空いてるし、一緒に試合見に行こうよ！」
美彩もノリノリだったため、そのあとは二人して何着る？何時からだっけ？と日曜日の予定を立てた。
楽しみだなー、とルンルンでリビングに向かうとお母さんがちょうど帰宅したところだった。
母「A、まだご飯食べてなかったの？もー、今日は瑠姫くんのお母さんとご飯行くから作っておいたのに」
これなら帰ってきてから作っても間に合ったじゃない、と笑いながら荷物を下ろすお母さん。
私と白岩の母親は仲が良すぎて親友なのか？と思うくらいだ。いつも一緒に出掛けている。
この前はアイドルだか何だかのアドトラックを見にいった、ときゃっきゃしていた。
私たちはというと………
ようやく普通のクラスメイトくらいには戻れたの、かな。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 420人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あい | 作成日時：2023年11月13日 20時
