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仲道には怒られたし、もっと良い方法が絶対あるって言われた。でもその時の俺はこれが最善策だと思っていた。
Aに久しぶりに白岩と呼ばれた時、大きな大きな距離が出来た気がしてやるせない気持ちになった。そう仕向けたのは俺だけど、毎朝Aが瑠姫！と読んでくれるあの瞬間が大好きだったから辛かった。
そのまま迎えた卒業式。
Aはクラスメイトと楽しそうに写真を撮っている。本当だったら俺だって隣で記念写真を撮っていたはずだった。
純「瑠姫？…また高城さん？」
「……」
純「そんなんなるなら真っ直ぐぶつかりに行きや。俺かて卒業式にまで瑠姫のそんな顔見たないで」
「いいんだよ、これで」
純「いや、せやから…」
Aから視線を逸らし、ごちゃごちゃうるさい純喜を引っ張って部活の仲間の元へと歩き出した。
幸か不幸かAとは同じ高校だった。
実はそれも知ってて受験したし、同じクラスになった時は嬉しかったけど後で全てを後悔した。
『ねえ美彩、好きな人できたかも…』
美「え！？なにそれ！ちょっと詳しく聞かせて」
教室で聞こえてきたあいつの声。
ああ、俺のこの気持ちも何もかも全部おしまいだ。そう思った。自分でそう仕向けたはずなのにいざその瞬間がやってくると悔しくてやるせなかった。
Aが好きだと言っていたのは、ダンス部の川尻先輩だった。確かに彼は男の俺から見ても魅力的だし、そのスキルだけでなくそのオーラで人を惹きつける。
中学のあの瞬間までは自惚れじゃなくて確実に俺たちは両想いだったと思う。でも、人の心は時間が経てば変わってしまう。ましてやキッカケを作ったのは俺だ。
いつまでも女々しく想い続けるのをやめられなくて俺だけがあの日から進んでいないような気がした。
高校に入ってから一年経っても変わらず平行線の状態だったけど、純喜の行動によって俺たちの仲に変化が起きた。
少し近づいたと思った距離が嬉しくて俺も気持ちが前に前に出てしまった。こんなに近づいたらまた同じことが起こるんじゃないか、それが頭をよぎったけど気持ちが止められなかった。
『前みたいに、瑠姫って呼んでも、いい？』
思わず抱きしめそうになった。
またあの笑顔が自分に向けられるのかと思うと嬉しくてたまらなかった。
そこからは振り向かせなきゃと思って必死だった。ただ、その燃えている気持ちがバレないようにするのにも必死だったけど。
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作者名：あい | 作成日時：2023年11月13日 20時
