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この頃の俺はAも同じ気持ちでいてくれてると確信があった。だけど、それを素直に受け入れて伝えるということが出来なかった。
付かず離れずの関係性が心地よかったのもあるせど、いつか終わりがきてしまうかもしれない恋愛というものに踏み込めないただの臆病者だった。
変わらない関係性のまま、迎えたある日。
後輩の景瑚から噂を聞いた。
景「ねえ、るっくん。A先輩、なんか嫌がらせ？されてるっぽいよ」
Aの口からそんなことを聞いたことはなかったし、まさに青天の霹靂だった。
景「俺も詳しいことはわかんないけど」
景瑚から聞いた情報しかなかったが胸騒ぎがした俺はAの親友である仲道に話を聞きに行った。
美「はあー…ついにバレちゃったのね」
「ついに、っていつから？」
美「多分入学してからずっとよ。わたしも何とか出来ないかと思って相談しようって言ったけど、あの子絶対に言わないでって」
頭をハンマーで殴られたかのような衝撃だった。仲道の口から語られたのは、Aが俺のせいで長い間嫌がらせをされているという話だった。
嫌がらせといっても人にバレるような大胆なものではなく、密かに心を蝕むような陰湿なものだった。
「なんだよ、それ」
美「『瑠姫は悪くない。でも瑠姫は自分を責める、だから絶対に言わないで』」
「え？」
美「白岩くんに相談しようって言った時にAが言った言葉。本当、バカなのよ…どんな時も自分より相手のこと考えてさ」
仲道も策を尽くしたんだろうなというのが表情で伺うことができた。それでも、止まらなかったんだろうな。
美「白岩くんは、あの子が好きなんでしょ？」
「…好きだけど」
美「守ってあげてよ。わたしじゃ守りきれないみたい。最近あの子寝不足なの、わたしには大丈夫だよって言うけどずっと悩んでると思う」
「…………そりゃ俺だって守りたいよ。ただ…」
仲道からの話を聞いて思ったことがある。
俺が彼女から離れれば全て解決するんじゃないかと。それ以外にいい方法が浮かばなくて、その日から俺はAに必要以上に関わるのをやめた。むしろ嫌な態度を取っていた。
俺とお前はもう関係ない、そう伝えるかのように。
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作者名：あい | 作成日時：2023年11月13日 20時
