37 ページ37
.
純「単純に疑問やねんけど、気持ち伝えたらええんちゃうん？」
『だって、瑠姫は好きな人いるし…』
ぼそっと呟いた後にハッとした。
河野くんはきょとんとしていた。
純「え、それってた…っあ、いやちゃうわ」
もしかして河野くんは仲良いし瑠姫が美彩を好きだって知ってるのかな。
純「…ごめん。まあ、あいつに好きな人おったとして、ちゃんと伝えなスッキリせんのとちゃう？」
河野くんの言う通りだった。
このままモヤモヤしていたって変わらない。ずるいままの自分で居たくない。
『……決めた。ちゃんと伝える』
そう口に出したら、河野くんが嬉しそうに手を出してハイタッチを求めてきた。
パチンとなった手のひらに少し痛みを感じつつもようやく気持ちが決まったような気がした。
『でもどうやって伝えれば良いんだろう』
純「うーん…難しいけど、伝えたいって思ったタイミングで躊躇せずに言うのが良いと思うで。ほんまは、あいつから……べきやけど……」
『なんて？』
最後の方は声が聞こえなくて聞き返したところでガラリと空き教室の扉が開いた。振り返ってみると瑠姫が立っていた。お、王子様到着やなと嬉しそうな河野くんの声が後ろから聞こえてくる。
「純喜」
純「別になんもないで。瑠姫ももっと真っ直ぐになりや」
少し怖い顔をしている瑠姫の横を通り過ぎながら、ぽんぽんと彼の肩を叩いて河野くんは教室を出て行った。
気まずい空気が流れる中、瑠姫が口を開いた。
「何してたの？」
『な、内緒！』
「俺に言えないことなの？」
『そういうわけじゃなくて……っえ、ちょ、瑠姫？』
もしかして今二人きりだし言うべきなんだろうか、と頭をぐるぐる回転させていると急にぎゅっと抱きしめられた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 420人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あい | 作成日時：2023年11月13日 20時
