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あの海の日以来、夏休み中に瑠姫に会うことはなかった。連絡をとろうと思えばとれたし、隣同士なのだから行けば会えるはずなのに何故かそれは出来なかった。
ただ、瑠姫のあの顔は休みの間ずっと頭から離れなかった。
そんな複雑な気持ちの中、美彩と夏休み最終日の課題追い込みを終えて新学期が始まった。
わたしは今教室の前で立ち止まっている。久しぶりに瑠姫に会えると思うとドキドキするけど、もしかしてまた関係値が戻ってしまっているんじゃないかと不安でいっぱい。
『よしっ』
パンッと頬を叩き、気合を入れてドアに手をかける。その時、突然後ろから笑い声が聞こえた。
「何してんの高城」
『お、おはよう、瑠姫…』
「おはよう。てか入んないの？」
『は、入るよ！』
良かった。普通に話してくれてる。
安堵していると教室の中から既に到着していた河野くんがじーっとわたしたちを見て突然立ち上がってこちらにやってきた。美彩はどうやらまだ来ていないらしい。
純「高城さんに聞きたいことあんねんけどちょっといい？」
『え、なになになに怖い！』
「ちょっ、純喜！待てって！っおい」
ガシッと腕を掴まれて連行された。
連れ戻そうとしてくれていたであろう瑠姫は別件で用があったらしいクラスメイトに捕まってしまったようだった。
純「率直に聞くけど、あの日俺らと別れた後なんかあったん？」
『あの日は、特に何も…』
純「嘘やな。あの日からちょっと瑠姫も変やねん」
『え？瑠姫が？』
純「あとさ、一旦整理したいねんけど、高城さんは瑠姫が好きってことでええんよな？」
他に誰もいない空き教室でまるで全部吐き出せと言わんばかりに質問攻めしてくる河野くんにたじたじになりながら洗いざらい話すことにした。
『えっと…あの、瑠姫のことは好き、だよ。あの日は…』
振り返りながら話し始める。
そして一連の出来事を聞き終わった河野くんは何やってんだかと溜息をついた。わかる、わたしもその気持ちだもんと思って肩を落とすと、いや高城さんやなくてさと何故か否定された。
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作者名：あい | 作成日時：2023年11月13日 20時
