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「ったく、大事なところで落とすなよ」
純「ごめんってぇ」
河野くんに悪態をついているがその表情は楽しそうで本当に仲が良いのが窺える。
いじりがいあるもんね、河野くん。
『瑠姫もお疲れ様』
「ん。応援ばっちり聞こえた。ありがとう」
純「そうや。ずっと思ってたんやけど、高城さん瑠姫のこと急に呼び捨てなったよな？」
『あー…まあ成り行きで？』
純「え、じゃあ俺も呼び捨てでいいのに」
『えー、じゃ「だめ」……え？』
じゃあ河野くんも呼び捨てでいいのに、と言おうと思ったら瑠姫がなぜか断っていた。
純「えー、名前くらい良いやん」
美「まあまあ、色々あんのよ」
河野くんは少し拗ねた様子だったから美彩が慰めていた。
そんな二人のやり取りを見ている瑠姫にこちらを見て欲しくて服の裾を引っ張る。
くるりと顔をこちらに向けた瑠姫の目をまっすぐ見て伝える。
『ちゃんと瑠姫だけ応援したよ。あと、かっこよかった』
そう言いながらタオルを渡すと瑠姫はそれを受け取ってなぜかわたしにかけて頭をわしゃわしゃと撫でた。
これじゃ瑠姫の表情が見えない。
『ちょっとなに！髪結んだのに崩れるじゃん！』
「どんなのでも可愛いから大丈夫だろ」
わたしにしか聞こえないくらいの大きさで呟かれたそれはわたしのHPを削って瀕死状態にするくらいには大きな衝撃だった。
熱が上がるのが分かる。好きな人に可愛いって言われるの、こんなに嬉しかったっけ。
その後すぐに瑠姫は河野くんに連れて行かれてしまい、彼がどんな表情をしていたのか見ることはできなかった。
ぽーっとしていたわたしに美彩がしっかり！と喝を入れてくれたけど、やっぱりどこか夢見心地でわたしの気持ちは暖かくふわふわしていた。
ドキドキしながら2年目の体育祭が終わりを迎えた。
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作者名：あい | 作成日時：2023年11月13日 20時
