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んー、あの場所なんやっけ？と考える人の様なポーズで思考を巡らせている河野くんに思わず笑ってしまった。
『ふふっ、あの海沿いのやつね。二人で行くつもりだけどちょっと気早くない？』
美「まあ楽しみだけどさ、毎年人多いよね。いつもAが逸れそうになってて心配になるわ」
純「そうなん？…でもなんかわかるわ。高城さんって危なっかしいもんなあ」
『なんだかんだで逸れてないから良いじゃん！しれっと言ってるけど河野くんも酷くない？』
純「守ってあげたくなる、感じ？」
『絶対思ってない顔で言うのやめてくれる？』
好きに呼んで、と言ったはずの呼び名はいまだに名字にさん付け。
そしてわたしも何となく純喜くんとは呼べていない。
というか恐れ多くて呼べない。
とはいえ、河野くんは人との距離を縮めるのが上手い、というか恐れを知らないのかぐいぐい来る。
そのおかげであっという間に冗談を言い合う仲になった。
ついこの前初めて同じクラスになったのに、いきなり「あ！瑠姫の！同じクラスなんや！よろしく！」と全力の握手をかましてきたくらいだ。
というか、瑠姫の！ってなに？認知の仕方おかしくない？と思ったのはここだけの秘密。
河野くんと白岩は中学からクラスは違えど同じサッカー部で仲が良かった。
その容姿と実力から、イケメンが多いと言われていたサッカー部内でも特に人気の二人だった。
るんき、と呼ばれて二人の絡みにわいている層も居たくらいだ。
「おい！純喜、危ないって。これはそっちと混ぜるなって言われただろ」
純「え？そうやっけ？……まって！ちょお、やばいって！瑠姫助けてやあ」
「はいはい。てかちゃんと聞いとけよ。とりあえずそれ、ここに置いとけ」
河野くんは成績優秀で運動神経も抜群なのに、どこか天然っぽいというかポンコツっぽい。どうやらそこがウケているらしいけど。
一方、白岩は成績こそ普通らしいけど、クールでその見た目から一部では王子と呼ばれているらしい。
そんな二人のやりとりを見ていると夫婦漫才のようで面白くて笑ってしまう。
そんなわたしを見て、白岩が少し口元を緩めた、気がした。
でも次の瞬間にはいつもの無愛想になっていたからやっぱり気のせいだった。
美彩と話す時は普通なのにわたしだけ。
…徹底してるな。
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作者名：あい | 作成日時：2023年11月13日 20時
