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いよいよやってくる仮装リレーのために着替えたけど落ち着かない。普段こんな格好することなんてないし、何よりこの後に燕尾服着た瑠姫との対面がある。
あーどうしよう。
また女の子たちから恨まれたりしないかな、なんて少し怖気付く。
でもただ考えてても仕方ないと思い、意を決して待機場所に向かおうと顔を上げた。
蓮「Aちゃん、ここにいたんだ」
『川尻先輩！』
蓮「ドレスなんだ！めっちゃ良いね」
『え、っと…本当、ですか？』
蓮「うんうん。可愛いよ」
にっこり頷きながら先輩に可愛いと言ってもらえて少し照れた。お世辞だろうけどやっぱり褒められるのは嬉しくてニヤニヤしちゃう。
蓮「ペアの子はどこか行ったと？」
「いますけど」
先輩の後ろから誰か現れたと思った時には既に誰かに手を取られぐっと引き寄せられていた。
この落ち着く香りで誰だか分かってしまう自分が悔しい。
「お嬢様、お時間です」
そう言ってわたしの顔を覗き込む瑠姫はまさに執事で、似合いすぎているというか破壊力が高くて直視できない。
蓮「あれ、白岩くんだー！仮装めちゃくちゃ決まってるね！」
「それはどうもありがとうございます。……ほら、行くよ」
『う、ん。…っあ、先輩また後で！』
そのまま瑠姫に引っ張られて、川尻先輩の姿が段々と遠くなっていった。
途中でドレスに引っ掛かってよろけたら、瑠姫が抱き止めてくれて助かった。その姿はまさに執事でドキドキしてしまう。
「ごめん、引っ張りすぎた。大丈夫？」
『大丈夫だよ』
「A」
急に呼ばれた名前にびっくりして少し体を跳ねさせてしまった。その様子に瑠姫がふふ、と微笑んだ。
『なんで笑うの』
「いや？…………ドレス似合ってる。可愛い」
『え………』
じっと見つめられて、一気に顔に熱が集まるのが分かる。先輩に言ってもらえた時とはまた違う感情が湧き上がっている。
「顔真っ赤」
『…瑠姫も……っじゃん』
「え？」
『瑠姫もめちゃくちゃ格好良いじゃん。みんな、好きになっちゃうんじゃない？』
楽しそうに笑う瑠姫が本当に格好良くてつい気持ちを言葉にしてしまった。
ハッとして恐る恐る瑠姫の顔を見ると左手で覆われていてよく見えなかった。
「あー……だめだわ、それ」
『瑠姫？』
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作者名：あい | 作成日時：2023年11月13日 20時
