ブーゲンビリア【R.S】 (ページ3)

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あの後は全力疾走で階段を駆け上がり、移動先の理科室へ到着。無意識に移動教室の荷物は手に持っていたようで助かったー、と思いながらチャイムが鳴ると同時に着席した。

美「A、ギリギリすぎ。まーた川尻先輩か」

『そう。偶然見つけちゃったからもう行くしかなかった。てかさっき声かけてくれてたよね、ごめんね』

美「まあそれは気にしなくて良いけど。猪突猛進すぎない？これでよく先輩も気付かないよね」

日直の「起立、礼、着席」の号令に合わせて動きながら、コソコソと隣の美彩と喋っていると向かいから物凄く視線を感じた。

『なんかわたしの顔に付いてる？』

視線の主である白岩にそう声をかけると何も言わずに視線を逸らされた。
普段友達と話している彼からは想像できないくらい険しい顔だったけど。…ってわたしの前ではいつもそうか。

それより………一体なんだったんだ？

隣で美彩が呆れたようなでもどこか寂しそうな表情でわたしたちの様子を見ていた。

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純「なあなあ」

今日の授業は隣の人とペアで実験をするらしく、美彩とあーでもないこーでもないと実験道具を準備していると白岩の隣に座っていた河野くんが話しかけてきた。

『ん？』

純「二人は今年花火大会行くん？あのー、ほら、あそこであるやつ！」

白岩はお隣さんだからもちろんだけど、実は美彩も河野くんも中学が一緒。まあ同じ中学と言っても、当時彼はクラスが離れていたし、お互い友達の友達で顔と名前は一致する、くらいの感覚だった。

河野くんは中学時代からまさにクラスの中心人物で人気者だった。
高校に入ってからもサッカー部で活躍しているらしく、彼もまた女子に人気なのだ。

そして、恐らく彼は毎年6月辺りに行われる花火大会のことを言っているんだと思う。

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