18 ページ18
.
蓮「Aちゃんのパワー、すごいなあ…。次は絶対応援しに来てほしい。Aちゃんが来てくれたら、絶対優勝できる気がするけん」
『はい！もちろんです！』
まだ握ったままだった川尻先輩の手をブンブンと振って激励した。そんなわたしの様子に先輩はキュイキュイと声をもらして笑っていた。
奨「Aちゃんのおかげで俺の出番はなさそうだね。……ていうか二人とも青春ドラマみたいで素敵だけど、ここ学校のど真ん中だよ」
『え？あ！勢い余って、すっ、すみません……っ！』
與那城先輩に言われて我に帰ったわたしは川尻先輩の手を離した。
勢いで川尻先輩の手を握ってしまったという事実で顔に熱が集まる。
蓮「全然気にしてないよ？…でもまあ時間もあれだし、そろそろ行こうか」
先輩方と並んで話しながら歩き始めようとしたその時。
わたしたちの少し先にある靴箱から視線を感じて何となく目を向けた。
そこには白岩が立っていた。
彼は昨日見せていたものとは打って変わり、何かを閉ざしたような表情をしていた。
その視線と表情に何となく居心地が悪くなって、顔を逸らした。川尻先輩に「じゃあ、また」と告げてバタバタと靴箱へ向かう。
見ていない間に教室へ向かったのか、そこにはもう白岩はいなかった。
教室に入ると既に席に座っていた白岩とバッチリ目が合ってしまった。
『あ、し、しろい……』
純「あ、高城さんやん！おはよう！昨日は来てくれてありがとうな。ほんま高城さんと仲道さんが勝利の女神やわ」
何も言わないのも変かと思って声をかけようとしたら、河野くんに見つかってマシンガントークが始まってしまった。
ちらっと白岩を見るともうこちらの方は見ていなくて、窓の外を眺めていた。
そのままお昼になってしまい、何かきっかけはないかと探していた。
どうしてわたしはこんなに必死なんだろうか。
久しぶりに彼に近づけた気がしたのに、また距離ができてしまいそうな状況に焦っていたのかもしれない。
河野くんに何かを話しかけてガタッと白岩が立ち上がった。どうしよう、と悩んでいるうちに白岩は教室を出て行ってしまった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 420人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あい | 作成日時：2023年11月13日 20時
