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あの後ぼーっとしながら帰路に着いた。
美彩と別れる時に「しっかりして！明日学校だからね！」と言われたことは覚えている。
ただあまり整理がつかずに、ふわふわした頭のまま月曜日を迎えた。
一人で歩いていると校門を抜けたところで後ろから誰かにポンっと肩を叩かれた。
蓮「Aちゃん、おはよう」
『川尻先輩！？お、おはようございます！』
蓮「今日も朝から元気やね」
『ありがとうございます』
訳のわからない返事をしてしまったようで川尻先輩が笑っていた。
『今日も素敵な笑顔ですね……』
蓮「え、なになに？ありがとう、嬉しい」
心の中でつぶやいたはずが声に出ていたらしく、川尻先輩がキョトンとした後にまた柔らかい笑顔を向けてくれた。
奨「あれ？蓮とAちゃん？」
先輩の笑顔に朝から幸せだなと感じていたら與那城先輩が缶コーヒーを片手にやってきた。高校生だというのにサラリーマンの通勤風景のように見える。
『與那城先輩、おはようございます！』
蓮「奨くん、おはよう」
奨「二人ともおはよう。昨日は応援行けなくてごめんね。大会はどうだった？」
與那城先輩の言葉を聞いて、川尻先輩が日曜日はダンスの大会だと言っていたことを思い出した。
川尻先輩のことだから優勝でもしたんじゃないだろうか、と思いワクワクしながら先輩の返答を待った。
蓮「…準優勝だったよ」
『えっ……』
あはは、とから元気から出たような先輩の声にきゅっと胸が締め付けられた。
いつもは大きく見える先輩が今日は少し小さく見えて思わず立ち止まり先輩の手を包み込んでぎゅっと握った。
蓮「Aちゃん？」
不思議そうにわたしの顔を見る先輩を見つめ返す。
『わたし、先輩のダンスが大好きです。今回は悔しい結果に終わったかもしれないですけど、先輩ならもっともっとたくさんの人を魅了するダンサーになれます。そして先輩のチームも、次はきっと優勝します。わたしが保証します！』
わたしに保証されて何になるんだ、と思われるかもしれない。でもどうしても伝えたくて先輩に思いの丈を伝えると川尻先輩はにっこりと笑った。
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作者名：あい | 作成日時：2023年11月13日 20時
