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中学2年生の春。
春休みが明け、新学期が始まる。
瑠「A、早くしねーと遅れるぞ」
『瑠姫おはよ！』
瑠「髪型…」
『え、変、かな？』
瑠「いや？」
…可愛いんじゃん？と呟かれたそれは隣にいるわたしにはしっかり届いていた。
十分すぎるくらいの破壊力だった。
顔に熱が集まるのがわかる。ああ、これは彼に馬鹿にされるやつだ。
そう思って瑠姫を見ると、案の定してやったりなニヤニヤ顔でむかついたから肩パンをお見舞いしてやった。
ドキドキのクラス発表。
自分の名前よりも先に「白岩」の文字を探してしまう。
『瑠姫、2組だね』
瑠「今年もAと一緒かよ」
『え！？』
瑠姫の一言に焦って自分の名前を探す。
確かに瑠姫の少し下に名前があった。
彼の名前を見つけることに必死で自分のを確認し忘れていた。
瑠「自分の名前確認してなかったのかよ。……まあ今年もよろしく。あとノート写させて」
『ノート要員にするのやめてよ』
そう言ってわたしをいじりながら真っ白な歯を見せて楽しそうに笑う瑠姫が、大好きだった。
こうやっていじってくるけど、小さい頃はたくさん助けてもらっていた記憶がある。
幼稚園で男の子に虫を鞄に入れられて大号泣していたわたしのために、同じく虫が大嫌いなはずの瑠姫がビビりながらもその虫を撃退してくれて男の子に怒ってくれた。
小学校の時なんて、友達と上手くいかなくて一人ぼっちになってしまっていたわたしを見て「俺がずっといるから」と言葉通りずっと一緒にいて他愛もない話をしてくれた。
後から聞いた話では、この時瑠姫は同級生の男の子から揶揄われていたらしい。
わたしにそんな素振は見せなかったけど。
そんな王子みたいな人が近くにいたらそりゃ誰でも好きになっちゃうよね。
ただそんな彼を好きな人はわたし以外にもたくさんいるわけで。
正直クラスの女子どころか校内の女子ほとんどに告白されたんじゃないか、というレベル。
そんな彼の幼馴染であるわたしは、彼女たちの反感を買ってしまい、嫌がらせを受けることもあった。
大体は「瑠姫くんから離れろ」や「目障り」みたいな理由だったと思う。
でも彼が好きだから離れるなんていう選択はしたくなかった。
幼馴染なんて、そんな特権生かす以外の何をしろっていうんだ。
そんなことを考えながら、嫌な言葉や嫌がらせにめげずに毎日彼と登校していた。
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作者名：あい | 作成日時：2023年11月13日 20時
