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その後試合が始まった。
河野くんは気合いが入っているようで大きな声でメンバーたちに声をかけていた。
こんなに広い会場なのに彼の声はよく通る。さすがだ。
前半、惜しい展開は何度もあったけど対戦校もかなり強く、拮抗した試合となっていた。
そのまま0-0でハーフタイムとなった。
ハーフタイム中に真剣な表情で監督やコーチの話を聞いている二人に周りの女子たちはぽーっと見惚れるばかりだった。
美彩がその様子を見て、もうこれはこっちの勝ちでしょ、とよく分からないことを言っていた。
そして始まった後半。
「「「わぁーーー！！！！！」」」
開始10分。
ついに試合が動いた。
ファウルをもらった白岩が直接狙ったフリーキックでゴールネットを揺らした。
会場のボルテージが一気に上がり、わたしも鳥肌が立つほどだった。
『やっば………』
美「ちょ、A！白岩くん天才じゃん！」
わたしは興奮気味の美彩に肩を揺らされながらも、高く拳をつき上げてゴールパフォーマンスをする白岩の姿に釘付けになってしまっていた。
そのまま見ていると白岩がこっちを指さしていた。距離はあるが目が合っているような気がした。
目を逸らすなと言わんばかりにじっとこちらを見る白岩に動揺してしまう。
彼はわたしが動揺しているのを気づいたかのように、そしてやってやったぞと言うかのように、ニヤリと片側の口角を上げて笑った。
その表情に突然ぶわっと体温が上がり、昔のことが鮮明に脳内に浮かび上がってきた。
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作者名：あい | 作成日時：2023年11月13日 20時
