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攻撃される、と理解した時には鬼の攻撃が私を襲った。ギリギリよけられたものの、この速さはただの雑魚鬼が出せるものではない。足場が悪い中広範囲の攻撃を避けたせいか、転んでしまった。目に数字は確認できなかったし、下弦というわけでもなさそうだが。
横から気配を感じる。竈門の気配だ。上手くいけばこのまま勝てるはずだ。鬼も竈門の存在に気付き、また逃げようとする。だが、逃げるより先にあいつが技を放った。少し遠いところからの攻撃だったが、竈門は難なく奴の頸を斬った。
……勝った。
あいつの強さに純粋に驚いている。優しいだけじゃ死ぬ、私はそう言ったが、竈門は"彼"とは違った。思っているよりもずっと才能も力も持っている。
本当は少し、否、かなりあいつのことを見下していた。
でも、私よりも強い力を持っていて、この戦いもあいつの力があったからこその勝利だったのだ。
「怪我はないか? ありがとう、Aのおかげで勝てた」
竈門はそう言って私に手を差し伸べてくれた。
記憶の中の"彼"と、重なった。
もう忘れたはずの、記憶なのに。
「そういうのは結構よ。私は帰るからあんたは___」
「なんで、そんなに悲しそうなんだ?」
差し伸べられた手を振り払って帰ろうとしたが、体が固まった。驚いた。今日は吃驚してばっかりだ、と少し現実逃避もしたりして。
昔から感情を隠すことは得意だった。表情の変化が小さいと怖がられたこともあった程には。今も、当然ばれていないと思っていたのに。
「話してみてほしい。少しは楽になるはずだし、俺にできることなら何でもしたいから」
違う。違う違う違う。
「できること、ねぇ……。なら、もう一生私に近づかないで」
全て、お前の所為なんだから。
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Shaula(プロフ) - 舞さん» ありがとうございます^^ (2021年1月23日 8時) (レス) id: 099ba59790 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 更新頑張ってください^_^ (2021年1月23日 3時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Shaula | 作成日時:2021年1月8日 20時