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まさか琵琶の音だけで部屋が移動するとは思っていなかったAは、昨日ぶりのお姉さんに着替えを手伝ってもらいひと段落したあとも、不思議そうに部屋を見回していた。
「？」
とんとんと肩を叩かれ女性に目を向けたAは、自分の唇を指し示す彼女に笑顔で近付き「どうしました？」とその綺麗な瞳を見つめる。
「！」
突然に距離を詰められて驚くAの耳元に唇を寄せた女性は、「怪我はなかった？」と息で優しく囁く。
「…！」
近すぎる距離に頬を赤くしながら何度もうなづくAは、「…お姉さん綺麗だから、突然距離を詰められると緊張しちゃいますっ」と慌てて彼女から目を逸らす。
「ふふ、」
これまた驚くほど近くで聞こえる女性の笑い声と、頬に触れる柔らかな感触に、彼女に口付けられたのだと気付いたAは「か、からかわないでください…！」と両手で頬を覆い隠す。
「…。」
Aの反応に楽しそうな笑みを浮かべる女性は、Aと視線を合わせて「かわいい」と唇を動かす。
「っ、」
昨日はあんなに優しかったのに、今日は意地悪だ…！と混乱する頭で考えて、でも他の鬼と違って少しも怖くないのは何故だろうと、Aは自分をじっと見つめている紅を見つめ返す。
「…。」
すぐ近くにある女性の手を握ってみると、人間である自分と同じくらいに温かくて、その滑らかな肌触りも間違いなく人間そのものだった。
「…お姉さんは、人を殺したことはありますか？」
彼女なら無いと言ってくれるような気がして見つめるも、返ってくるのは困ったような笑みだけで、やはり彼女と自分は違う存在なのだと、勝手に期待して悲しくなる。
「こんなに優しい人なのに…。…もう、人は殺さないでほしいです」
Aの言葉に悩むことなくうなづいてくれる女性は、握られたままのAの手をそっと握り返して、優しげな笑みを浮かべる。
「約束ですよ？」
もちろん、とでも言うように大きくうなづきながら細められる穏やかな瞳は、とても、嘘を言っているようには思えなかった。
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明珠(プロフ) - 梨さん» コメントありがとうございます！そしてお返事が遅くなった私のために2回もコメントしていただき、嬉しい限りです。これからもよろしくお願いします！！ (10月22日 13時) (
レス) @page28 id: 188ff08a0d (このIDを非表示/違反報告)
梨 - 星が赤くなった！ (10月1日 15時) (レス) id: cdc22d5592 (このIDを非表示/違反報告)
梨 - 尊いです、、 (7月17日 5時) (レス) id: 885e152231 (このIDを非表示/違反報告)
明珠(プロフ) - 瑠音さん» コメントありがとうございます！！これからも溺愛してもらいますので、最後までお付き合いいただければ嬉しいですっ (6月8日 22時) (レス) id: 188ff08a0d (このIDを非表示/違反報告)
瑠音 - 溺愛無惨様最高です (6月8日 19時) (レス) @page14 id: 0b8cc5461c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：明珠 | 作成日時：2023年5月30日 12時
