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Aと少しでも話せるようになったら、その瞳が自分を見つめてくれたら、それだけで満足だと思っていたのに、今はあれほどまでに望んでいたはずのその瞳が無惨の思考をかき乱して、今すぐにでも逃げ出したい衝動に駆られていた。


「…あの、大丈夫?」
「っ、」
「体調でも悪いの?」


Aが自分を気遣ってくれる事実が嬉しいのに、それ以上の何かが無惨の心を占めていて、無惨は視線を上げられずに「問題ない」と一言告げるにとどまる。


「最近、貴方以外の人は来ないね。皆んな忙しいの?」
「…さぁ、」


全く会話にならないやりとりに、せっかくAが会話を振ってくれているのに何をしているのだ、とさらに上げられなくなった視界に、炊事をやらなくなったおかげですっかり綺麗になったAの指先が映る。


「…。」


素直に触れてみたいと、会話もままならないのにそんなことを考える無惨は、ふいに感じる視線に釣られるように顔を上げて、笑顔で自分を見つめるAに驚いたように目を見開く。


「…やっぱり貴方、分かりやすいよね?」


可笑しそうに笑うAにまだ慣れなくて、ほんのりと熱くなる頬を隠すよりもまだ、その可愛らしい顔を見ていたいという気持ちが勝って、無惨はじっとAの顔を見つめる。


「…ちゃんと言葉で、私を口説いてみせて?」


このどうしようもなく浅ましい気持ちを、好きだなどという言葉で表していいものか分からない無惨は、やっぱりAの望む言葉は口には出せずに黙り込むしかない。


「私に、自分と同じ気持ちになってほしくないの?」


そんなの叶うものなら勿論なってほしいと、口に出せばきっと何か前進するのに、人に愛を乞うたことなどない無惨はあとその一歩が踏み出せずに、内に篭もる熱を、熱いため息としてただ外に出すしか道はないのだった。

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明珠(プロフ) - 梨さん» コメントありがとうございます!そしてお返事が遅くなった私のために2回もコメントしていただき、嬉しい限りです。これからもよろしくお願いします!! (10月22日 13時) (レス) @page28 id: 188ff08a0d (このIDを非表示/違反報告)
- 星が赤くなった! (10月1日 15時) (レス) id: cdc22d5592 (このIDを非表示/違反報告)
- 尊いです、、 (7月17日 5時) (レス) id: 885e152231 (このIDを非表示/違反報告)
明珠(プロフ) - 瑠音さん» コメントありがとうございます!!これからも溺愛してもらいますので、最後までお付き合いいただければ嬉しいですっ (6月8日 22時) (レス) id: 188ff08a0d (このIDを非表示/違反報告)
瑠音 - 溺愛無惨様最高です (6月8日 19時) (レス) @page14 id: 0b8cc5461c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:明珠 | 作成日時:2023年5月30日 12時

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