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遠い道のりを、連れ去られた時と同じく無惨に抱えられて走るAは、あの日と同じ綺麗な満月を見上げ、湧き上がってくる色んな感情に押しつぶされてしまいそうになる。


「っ、」


溢れそうになる涙をこらえるのに縋れる人が、全ての根源である無惨しかいなくて、大人しくその胸に顔をうずめたAは、目を瞑れば不思議と落ち着く匂いと温もりに、余計に溢れるものが止まらなくなる。


「ふっ、」


心なしか強まる気がする無惨の腕の力に気付かないふりをしながら、Aはまだ心の奥底では整理がつけられずにいる両親の死を、涙と共に少しずつ受け入れる準備をしていく。


「…着いたぞ」


そう言って地面に降ろされ、鼻をつく異臭に顔を歪めると、もはや両親だなんて判別のつかないその姿にAが確かめるように触れようとして、「やめておけ」とその腕を無惨に掴まれる。


「私がやる」


その言葉通り、一人で墓穴を掘り丁寧にAの両親を埋めていく無惨は、手際よく作業を終えて、懐から線香を取り出しAを振り返る。


「…、」


無惨に対して、両親のことを弔ってくれてありがとうと言えたらいいのに、まだそう言えるほど気持ちが追いついていなくて、変わり果ててしまった両親を目の前に無惨を罵倒したくなる気持ちをぐっと我慢する。


「…、待っていろ」


そう言うなりどこかへ消えていく無惨は、何やら長く光る物を持って帰ってきて、それが刀であることに気付いたAは、このまま彼に殺されてしまうんじゃないかと恐怖に後ずさる。





(このまま次話まで続きます)

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明珠(プロフ) - 梨さん» コメントありがとうございます!そしてお返事が遅くなった私のために2回もコメントしていただき、嬉しい限りです。これからもよろしくお願いします!! (10月22日 13時) (レス) @page28 id: 188ff08a0d (このIDを非表示/違反報告)
- 星が赤くなった! (10月1日 15時) (レス) id: cdc22d5592 (このIDを非表示/違反報告)
- 尊いです、、 (7月17日 5時) (レス) id: 885e152231 (このIDを非表示/違反報告)
明珠(プロフ) - 瑠音さん» コメントありがとうございます!!これからも溺愛してもらいますので、最後までお付き合いいただければ嬉しいですっ (6月8日 22時) (レス) id: 188ff08a0d (このIDを非表示/違反報告)
瑠音 - 溺愛無惨様最高です (6月8日 19時) (レス) @page14 id: 0b8cc5461c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:明珠 | 作成日時:2023年5月30日 12時

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