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きちんと手を合わせて言葉少なにご飯を食べ進める悟に、「そういえば、」とAが声をかけると、悟は口の中の物を飲み込んだあと「どしたの?」とAに目を向ける。
「悠仁くんに、ちゃんとした生活送らせてあげてるの?」
Aの言葉にゆっくりと瞬きをひとつした悟は、「虎杖くん、ね」と声のトーンを落としてAを見つめる。
「…え、うん。虎杖悠仁くん、だよね」
「生徒との距離感は、ちゃんと考えなくちゃだよ」
「え?…だって悟は、悠仁って呼んでるよね?」
僕は同性だからね、と笑う悟に、「じゃあ野薔薇ちゃんのことは、釘崎さんって呼んでるわけ?」とAは不満げな表情をみせる。
「呼んでないね」
「じゃあ私だって、良いじゃん」
「…んー、」
否定も肯定もせずただ笑みを深める悟に、これは無理やり言いくるめられるやつだと瞬時に悟ったAは、「もうお腹いっぱいだから、帰る」と慌てて立ち上がる。
「…、そうやって、いつもずるいよね」
Aを引き止めることはせずにそう言って瞳を細めた悟は、「分かってるくせに、」とこれ見よがしにAが残したハンバーグにフォークを突き刺す。
「…悟こそ、分かってるんでしょ」
「分かってるよ。…分かってる。生者は死者には勝てない、ってね」
「傑は死んでない!」
叫ぶようにしてそう言ったAは、自分をじっと見つめる、今にも吸い込まれそうな青に背を向けて、大きな音を立てながら家を飛び出していく。
「…、はは。…またやっちゃった」
そう言ってAが出て行ったドアを見つめた悟は、乱暴にフォークを突き立てたせいでグチャグチャになっているハンバーグを丁寧に口に入れて、「やっぱり美味しいなぁ」と、小さな声で呟いた。
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明珠(プロフ) - Mamiさん» ありがとうございます!良かったですー! (2022年6月3日 10時) (レス) id: 64ad7b0890 (このIDを非表示/違反報告)
Mami(プロフ) - 明珠さん» 全然面白いです! (2022年6月2日 16時) (レス) @page33 id: a64b7436ba (このIDを非表示/違反報告)
明珠(プロフ) - Mamiさん» こちらこそありがとうございます!なんとか行けるところまでいってみましたが、どうでしょうか、、?違うものが始まりそうになって強制終了させてしまったので、物足りないかもしれません、、 (2022年6月2日 16時) (レス) id: 64ad7b0890 (このIDを非表示/違反報告)
Mami(プロフ) - 明珠さん» レス返して頂きありがとうございます!例えば激しいキスとかはどうかなぁ…と思いまして…。そう言うのが嫌でしたら無理には言わないですが… (2022年5月31日 22時) (レス) @page31 id: a64b7436ba (このIDを非表示/違反報告)
明珠(プロフ) - Mamiさん» はじめまして!コメントありがとうございます。読解力がなくて申し訳ないですが、具体的にイチャイチャ至る所、というのはどういうことでしょうか、、?? (2022年5月31日 12時) (レス) id: 64ad7b0890 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:明珠 | 作成日時:2022年4月30日 23時