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「A!」
綺麗な顔に似合わない薄汚れた服をまとって病室に現れた悟は、「任務おつかれさま」と笑うAに、混乱した様子で駆け寄っていく。
「え、…え、生まれたって…?」
とても産後とは思えないAに戸惑ったようにその肩を掴んだ悟は、確かめるように今朝、家を出る時には生命の存在を感じたお腹に手を伸ばす。
「生まれたの、元気な男の子!」
そう言って自分と赤ちゃんが映る写真を悟に見せたAは、「可愛いでしょ?」と愛おしそうに瞳を細める。
「明日から母子同室らしいから、悟も抱っこできるよ」
そんなことを言われても何の実感も湧かない悟は、「とにかく、Aが無事で良かった」とAの母の存在も忘れてAをきつく抱きしめる。
「…あの、悟さん。悟さんのご家族への連絡は…?そ、そういえば私、気が動転して五条家の方の大事な後継ぎだって言うのに、悟さんのご家族を差し置いて我先にと抱っこまでしてしまって…」
Aによく似た顔がみるみる蒼白していくのを見て慌ててAから離れた悟は、「こちらこそ、至らぬ僕の分までAに付き添っていただいて」と勢いよく頭を下げる。
「いやいやいや!頭を下げるのは私の方です、悟さんのおかげで私もAも、随分暮らしが良くなって」
「それこそ、無理やり結婚を迫ったのは僕の方ですから」
圧倒的善人のような愛想笑いも、異常なまでに低い腰も、普段の悟を知っているAには結婚の挨拶以来の未だ慣れない衝撃で、おかしすぎて我慢できず肩を震わせてしまう。
「悟ってば、本当、敬語使ったり頭を下げたり、似合わなすぎる…!」
Aの言葉に心外そうに目を見開いた悟は、「僕だって、やれば何でもできるんですよ」と畏まった口調のまま柔らかな笑みを浮かべる。
「おお、かっこいい!」
「当たり前。…もっと言ってもいいよ?」
いつもの飄々とした様子とは打って変わった悟の表情に、素直に感嘆の声をあげるAは、「本当の本当に、かっこいい!」と微笑ましげな母の視線を受けながら楽しそうに笑った。
***
皆さまとの今日も更新するという約束を守れました…!!
そしてその勢いで、別アカから移行の宿儺を投稿しちゃいます!
契闊【両面宿儺】
宿儺って多分、優しくて辛くて振り切っちゃった人なんだろうなという私の妄想から生まれた作品です。
よろしければぜひm(_ _)m
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明珠(プロフ) - Mamiさん» ありがとうございます!良かったですー! (2022年6月3日 10時) (レス) id: 64ad7b0890 (このIDを非表示/違反報告)
Mami(プロフ) - 明珠さん» 全然面白いです! (2022年6月2日 16時) (レス) @page33 id: a64b7436ba (このIDを非表示/違反報告)
明珠(プロフ) - Mamiさん» こちらこそありがとうございます!なんとか行けるところまでいってみましたが、どうでしょうか、、?違うものが始まりそうになって強制終了させてしまったので、物足りないかもしれません、、 (2022年6月2日 16時) (レス) id: 64ad7b0890 (このIDを非表示/違反報告)
Mami(プロフ) - 明珠さん» レス返して頂きありがとうございます!例えば激しいキスとかはどうかなぁ…と思いまして…。そう言うのが嫌でしたら無理には言わないですが… (2022年5月31日 22時) (レス) @page31 id: a64b7436ba (このIDを非表示/違反報告)
明珠(プロフ) - Mamiさん» はじめまして!コメントありがとうございます。読解力がなくて申し訳ないですが、具体的にイチャイチャ至る所、というのはどういうことでしょうか、、?? (2022年5月31日 12時) (レス) id: 64ad7b0890 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:明珠 | 作成日時:2022年4月30日 23時