【WT】出水彼女いるってよ。 (ページ5)

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「ついにやっちまったなー俺」

そう窓に両肘をついて寄りかかっていると、先ほどまで寝ていた先輩が『なにが』と問いかけてきた。保健室の先生はまだ帰ってきておらず体調不良の生徒もいないため保健室には俺と先輩の2人きりだった。

先輩が陣取ったベッドが一番端の窓際だったため、体育に励んでいる生徒たちが一望できる。一応カッターシャツは羽織っているため裸ではないが少し前までなら絶対にこんなことしなかった。

「俺、さらに馬鹿になってる気がする」
『いーよもっと馬鹿になれば』
「他人事だと思って」

すると後から裸体で抱きしめられ『もっかいしよ』と振り向き様にキスをされた。容易くそれに乗っかる俺も俺だが、結局拒む気も更々ないので、又もやベッドに舞い戻ってしまった。

ーーー3ヶ月後。

「あんたどうすんの。鍵」
『もう泊まる』
「上からだな、俺んちだわ」

あれからというもの俺は先輩といることが多くなった。サボりは増えるし重役出勤も当たり前。時には学校に行かずファミレスで時間を潰したり駅前のゲーセンに入り浸った。

先輩には変わらず恋人は出来るけど、別れるのも早くなった。1ヶ月持っていたことも結構あったが、ここ3ヶ月で1週間や2週間経ったら別れるなんてことがザラに起き始めた。

今日はというと先輩が家に鍵を忘れてきたため、親が帰ってくるまで待つのも面倒だからもう俺の家に泊まると言い出した。

「Aちゃん画面見えづらい」
『あたしも』
「なら降りろよ」
『やだね』

よって現在は俺の部屋にいるのだが、俺がテレビで、AちゃんはDSでゲームしていた。だがAちゃんが膝の上に乗って抱きしめてくるためテレビに映っている画面が中々に見えづらい。この人が退く気もないのは分かり切ったことなのでその状態で俺はゲームクリアを目指す。

「ねえ。Aちゃん」
『なに』
「あんたに告るやつらはあんたのなにがよくて好きって言うの」

『顔と、割り切ってるところ』
「ふーん」
『自分から聞いといてなんだお前は』

予想に反しない返答にああ、やっぱりなと思った。

「俺はね」
『ん？』
「意外と子供のとこがすき」

ぴくりと反応したのが分かって、コントローラーを脇の方に置いた。Aちゃんは俺の首に回していた手を解いて俺と目線を合わせる。

「あと、さびしがりなこと」

むず痒そうな顔をするその人を見て少し笑えた。

「……いらないなら捨てていいから
俺の残り全部あげる」

『………なに、それ
もったいない』

それから暫くして、鈴木Aは姿を消した。