【WT】出水彼女いるってよ。 (ページ13)

今日:7 hit、昨日:25 hit、合計:8,049 hit

01-5 ページ13

「なあ、どういう意味だと思う」
「どーゆーってどう考えてもそのまんまの意味だろ」
「だよなあ」

模擬戦を何戦か交えてから俺は米屋とボーダー内に設置されているラウンジにいた。会話の内容は察してもらえているだろうが、先刻俺が牧田さんから頂いた「出水って本当嫌味なやつよね」という台詞についてだった。

あのあと牧田さんは惚けて立ち尽くしてしまった俺を置いてスタスタと先にボーダーへと行ってしまった。俺は金縛りに合ったかのように暫く動けなかったが、やはりなぜそう言われなければならないのか身に覚えがないため理解に苦しみやっとの思いでボーダーへと赴いたのだ。

とは言っているが、個人ランク戦のブースに入り浸っていた槍ばかと何戦か交えればそんなことはすっかりどこ吹く風だったというのに、槍ばかがふと口にした「牧田に明日怒られるなあ」という一言でまたもや思い出してしまったのだ。

そのためすぐ様模擬戦を切り上げてラウンジに移ってきたのだが、一連の出来事を話し終えるなり槍ばかは腹を抱えて笑い出した。そして一言。「お前牧田にそこまで言われるとかほんとなにしたんだよ」と。いやそれは俺の方が知りたい。

「知らねえ内になんかしたんじゃね？牧田はあんまそういうこと安易に言うようなやつじゃねえし」
「だから俺に身に覚えが一切ないことが余計に不安を煽んだよ」

「あいつに聞くのが1番の近道だろうけど、無理だろうな。その手のことには聞いても絶対に口を割らねえだろうし」
「じゃあ訳も分からず嫌われ続けろって？」

「まあそこんとこは自分でなんとかするしかねえよ。下手に俺が絡むと余計に牧田の口が硬くなるだけだぜ？」
「んなこと言ってもなあ」

俺は別に牧田さんと仲良くまではしなくていい。ただ何故それほどまでに俺のことを嫌ってるのかが知りたいだけで。槍ばかにここまで言われるということは俺は余程のことを牧田さんに仕出かしたんだろう。だが追求しようにも打つ手はなく早くもお手上げ状態になっている。

「あ。でも俺、1個だけ心当たりあるわ」
「お！なんだよ早く言えよ」
「あーいやこれが理由だとしたらお前どうしようもないな」
「なんでだよ」

「じゃあ聞くけどお前牧田から一生嫌われるのと射手をやめるんだったらどっちをとる？」
「え、なんでそこでポジションが出てくんの？」
「いーから。どっちとるよ」
「そんなん牧田さんから一生嫌われてた方がマシだわ」

米屋は俺の返答を予め予想していた上で「だからこの話は終わりな」と言って強制的に会話を終わらせた。