▼夏夜のリドル ページ6
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屋上で二人きり。
「やーい、サボり」
『特大ブーメランお見舞いしてやるぞコラ』
「クマあるね」
『角名のせい』
空いていた膝は、直ぐ角名によって埋まってしまう。
『あとで私にもしてよ。
角名の膝が恋しい』
「おい、俺自身はどうした」
あはは、と笑む私の傍に、角名は私の髪を梳いた。
その手が止まると、私は背を曲げて角名の額に口付けた。
『機嫌悪いの私のせい?』
「キスは機嫌取りか」
『したくなったんだよ。ばか』
角名は私の腰に腕を回し、腹部に顔を埋める。
彼はなにも発することなくただ無言で、抱き締めてきた。
そんな彼に私は、零す。
『さみしいよ、すな』
『すなが来てくれないから、さみしい』
『晩御飯作り過ぎて、
余っちゃうよ』
なんで、とは言えない。
けれどこの"どうしようもない"感情の行き先もないのだから仕方がないではないか。
「……ごめんね」
合図。
角名が伸ばした手は私の唇に触れ、体を少しだけ起こすと私の唇に自分の唇を重ねた。
その反動で後ろに倒れ込む。
『寝てないの?』
「…Aのせい」
『一緒にねようか』
「……いや、」
『このまま襲 っちゃおうかな♡
なんて馬鹿言うなよ』
「何故バレた」
夏は、終わらない。
『アンタ、角名になに吹き込んだの』
待ち合わせ先。
いたのは、待ち人の角名ではなく彼に悩みの種を撒いた男。
『この前家に来た時、アンタ角名のこと待ち伏せしてたわけ?…タチ悪りぃ』
「んなこと言ってさぁ、お前も分かってるんだろ?
あんな男一人に執着してないで、落ちぶれちまえよ。
全部捨てて、楽になればいい。
角名がお前に対して抱いてるのは、
依存だってこと、
分かってるよな?」
『…うざ』
「てめっ、人が親切で言ってやったことを…!」
『あの女を連れてったアンタに
言われる筋合いないわよ』
「朱美のこと言ってんのか」
はっ、と鼻で笑うと
「つくづくマザコンだな」
嘲笑う様な、そんな言葉が聞こえてくる。
『いっぺん死んでこいよ、お前』
「あーはいはい
(否定しねぇのかよ。らしくねぇ)」
『…つか、なにこの手』
腰に回された手を抓り剥がそうとする。
「女扱いしてやってるだけじゃん」
『キモいから止めろ。死ね』
「んだよー。つれねぇ…おっ!」
『?』
「A、こっち向け」
『は?』
瞬間、口を塞がれる。
朱美もこの口に触れたのか、そう考えると
体が冷めていく。
『なにしてんの』
「つまんね」
依存でいいよ。
依存でいいから、
だから、
私と一緒に落ちぶれてくれないかなって
思っちゃうだよね。
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グリム(プロフ) - ヤバイ、凄く引き込まれる！次の投稿待ってます！ (1月30日 17時) (
レス) @page13 id: 66f712e8a8 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 切ない……切なすぎる…。更新ずっと待ってます‼ (10月15日 20時) (レス) @page13 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
百合(プロフ) - んごおああああああああ(叫び声)めためた切ない(´；ω；｀)次の投稿永遠に待ってます！ (6月18日 19時) (レス) @page13 id: 587110230b (このIDを非表示/違反報告)
めぃ(プロフ) - ほんとに最高です！主人公ちゃんへの感情移入凄すぎてしんどいです…(泣) (2022年7月24日 5時) (レス) id: 1ba6cd66fa (このIDを非表示/違反報告)
みるきーばなな(プロフ) - うはぁぁぁ、切ねぇぇぇ、、、ッッ！読みながら涙腺崩壊しそうになったぞおい、、（涙） (2022年7月15日 8時) (レス) @page13 id: bfe5e9257b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チェスター | 作成日時：2021年7月5日 12時
