雷 は 大 嫌 い 。〔短編〕

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「っ、何やってんだろう。」





「ヒヤッヒヤッヒヤッ」





不気味な笑い方で近づいてくる、鬼。





ヤツの口には、濃紅色の血。





私もあの鬼に喰われれば、




家族のもとに行けるのかな。





「どうする、お前も喰われるか？」





「そうしよっ、かな。」





お母様の手のように、





優しく頬に触れる鬼の手。





こんな優しい鬼に食べられるなら、





と身体全身の力を抜いた時。





「雷の呼吸。壱ノ型。霹靂一閃。」





どこからともなく聞こえてきた声。





主を探そうとするも、





鬼に身体を包み込まれていて、





視界が真っ暗。





身体にグッと力を込めた、その時、





雷がふってきた。






真っ暗だった視界の中に、





一瞬だけ光が見えた。





目を開けた時には、鬼はおらず、





金髪の男の子がいた。






彼は黙ったまま、私を見つめ、近づいてきた。





「……。諦めちゃ、ダメだろ」





「っ、」





私が諦めるのを、彼は見ていた。





「たった一つの、命だ！無駄にするな！」





「うぅっ、」





涙が、止まらない。





背中をさする彼の手は、どこか温かかった。

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