私のヒーロー、君のヒーロー【白石蔵ノ介】

７話 ページ7

翌日


目を開けると、相変わらず詰まらい天井



体を起こすと何も変わらない見慣れた景色、そしてほのかに香る薬品の匂い




「昔はこの匂いが嫌だったけど、今は慣れたな・・・」



ずっと匂いを吸ってると逆に外の空気が変に思える



ｺﾝｺﾝ


看「Aちゃん、検査の時間だよ」





「うん・・・」



そして、日課になった検査



楽しいことなんて一つもない



強いて言えば桜を見たり写生することぐらいが楽しみかな・・・




看「ﾆｺﾆｺ」




「・・・」




看「ﾆｺﾆｺ」





「・・・」




え・・・何？なんかニコニコしながら私のほうをずっと見てるんだけど



何かした？


「えっと・・・・何か？」





看「あ、別に何でもないよ！」




絶対なにか考えてたよね・・・長い付き合いだから分かっちゃうんだよ

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
検査が終わって、抜け出そうとしたら


病院にいる小さい子につかまった・・・本を抱いて凄いキラキラした目で見てくるから



仕方なく私の病室で読み聞かせをしてあげた




午前中・・・外に一歩も出ず




そして、お昼になり小さい子たちが各病室に戻った頃


今だ、と思い抜け出した




片手にはスケッチブック、もう片方には鉛筆



絵には何となく自信がある・・・



１時間後・・・いつもなら看護師さんが来るけど今日はこない・・・





「あ、今日の検査午後で終わりだったんだ・・・記憶力ヤバいな・・・」



道理で来ない訳だ、検査の時間以外はほとんど私の病室には誰も来ない




病院の外の方から、学生たちが帰る姿が見える



私も入院していなければ、あんな風に友達と楽しく帰っていたのだろうか



そう思うと少し、自分が嫌になってくる・・・なんで私なんだ




＿なんで私が病気にかからなきゃいけないんだ、って

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白石side



謙「白石、部活行こうや！」




6限目が終わると謙也が凄いスピードで俺の席にすっ飛んできた


＿おん、そう言おうとしたが



昨日病室で言われたことを思いだした



そうや、病院に行かなアカン・・・部活が終わってからはもう遅いから多分会えないと思う




蔵「謙也、俺今日部活休むわ」



謙「え、どうしたん!?白石が休むなんて珍しいやん」



蔵「ちょっとやらなアカンことがあるからな


　 そんじゃ、また明日」



そう言って、そそくさと教室を去った



謙「白石がいないから、金ちゃんどうやって抑えよう・・・」

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