私のヒーロー、君のヒーロー【白石蔵ノ介】 (ページ44)

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４４話ページ44

昼休み

精「A、ご飯一緒に食べよ」

チャイムが鳴ってカバンから弁当を出そうとすると、教室のドアから精市が来た

「あ、わかった。ブン太達も・・・」

私が言い終わる前に精市は私の手を引っ張りどこかに連れて行こうとした

「え、ちょっと・・・」

精「たまには二人で食べてもいいでしょ」

そうニコっと笑う精市に何も言い返せない

後ろを振り向くと、ブン太と雅治が教室のドアからこちらを覗いて

何やら笑っていた

アイツら・・・・・覚えとけ

精市に見えないようにアイツらに中指を立てる←え、Aちゃん!?

＿＿＿＿＿＿＿＿＿

「えっと・・・ここは・・・」

精「学校の裏庭だよ」

裏庭・・・一ヶ月くらいここの学校にいるけど、来たことないな・・・

聞いたことすらないけど

幸「あそこに咲いてる花は僕が育てたんだよ」

「へぇー凄いね・・・・・・」

精市が指さすほうに目を向けると、確かに綺麗な花が咲いていた

でも、私はその花より、隣の大きな木に目が釘付けになった

どこか、病院にあった桜の木に似ている気がする

花壇の前にしゃがみ込んで何かを話す精市が見えるがまったく内容が入ってこない

ただ目の前の木を見ることしかできなかった

精「A？」

何も喋らない私を不審に思ったのか、立ち上がって振り返る

「あ、いや何でもない」

精「そう？なんかボーっとしてたけど？」

「ちょっとね・・・・この木が前に居た病院の木に似てたから」

この木も春になったら綺麗な桜の花を咲かせるのだろうか・・・

突如、蔵ノ介君と初めてあった日のことがフラッシュバックする

私はただ桜の絵を描いていた、そして蔵ノ介君が言うんだ『綺麗な桜やな』って

かすかだけど、蔵ノ介君が優しく微笑んでいるのが見えた気がする

だけど、その顔が思い出せない・・・記憶では分かっているのに

あぁ・・・また蔵ノ介君の笑顔が見たいな、なんて思ってしまう自分が嫌いだ

自分から突き放しておいて・・・

精「A？」

精市のその一言で現実に引き戻される

「あ、ごめんごめん

　昼休みが終わらないうちにお弁当食べちゃおっか・・・」

なんでだろう、朝まであんなに気分がよかったのに

少し昔のことを思いだしたくらいで少し暗い気持ちになる