私のヒーロー、君のヒーロー【白石蔵ノ介】 (ページ33)

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３３話ページ33

午前中、担当のお医者さんから話があると言われた

母「あの、お話とは・・・Aに何かあったんですか！」

うるさい・・・

「声のボリューム下げて」

母「あ、ごめん。」

医「はい、実は最近になって急にAさんの癌がひどくなってきていて」

酷くなってきてるか・・・

確かに最近たまに苦しくなるな・・・

母「それは治るんですか？・・・・」

医「まぁ、治らないことはないですがウチの病院では治せません」

母「じゃあ、どこで・・・」

医「私の知る限りでは神奈川にある病院が有力ですかね・・・」

神奈川・・・遠いな

でも、そこに行けば蔵ノ介君達の邪魔をしなくても済むのかな・・・

でも、あえなくなっちゃうのか・・・

いや、だめだ。邪魔しないためにもこの気持ちは抑えなきゃ

「あの、そこの病院って紹介してもらえたりします？」

母「A、そこに行くって事でいいの？」

「うん」

もう、後戻りはできない

医「わかりました、ではそちらの病院のほうに連絡しておきます

　早くて明後日ぐらいに出発になるかもしれませんので、準備をしておいてください」

こうすれば誰の邪魔もしなくてすむ

私も罪悪感から解放される

「分かりました」

そう言ってお医者さんは病室を出た

母「A、ホントにいいの？」

「何が？」

母「蔵ノ介君達に会えなくなっちゃうよ」

凄い痛い所ついてくるね

「別にいいよ

　蔵ノ介君達に毎日来てもらうのも申し訳なかったし」

母「そう・・・・じゃあ、お母さん準備してくるね」

「うん」

母「あと・・」

病室を出る直前お母さんが足を止めた

母「蔵ノ介君達にも話しておくのよ」

「・・・・うん」

そう言って出て行った

「言えるわけないでしょ・・・」

ボフッとベッドに倒れこんだ

「癌なんかじゃなければな・・・」

癌なんかじゃなければもっと早くに蔵ノ介君に会えたかもしれない

一緒に登校できたかもしれない

それで放課後に蔵ノ介君達とどっかに寄り道して・・・

無駄な妄想はやめよう

逆に苦しくなるだけ