私のヒーロー、君のヒーロー【白石蔵ノ介】 (ページ30)

今日:29 hit、昨日:3 hit、合計:27,688 hit

３０話ページ30

謙「あのな・・・・率直に言うけど・・・」

少し場の空気が重くなる

「うん・・・」

謙「あんまり、白石と関わらんといてほしい・・・・んやけど・・・」

「そっか・・・ごめんね」

何となくいつかは言われるだろうと思ってた、初めて会ったときから

私は誰かの頑張りを邪魔しちゃう、好きな事を邪魔しちゃう

悪役なんだって・・・

謙「いや、別にそんな謝って欲しい訳じゃないんやけど・・・

　何て言ったらええんやろ・・・その、最近白石の調子が悪くてそれがたぶん

　 Aちゃんと会ったときからで・・・いつもボーっとしとるし、取れるはずの球も

　取らんし・・・・」

ここではあんなに楽しそうに話してくれるのに・・・部活じゃそうなっちゃうんだ・・・

ホントに私のせいだ・・・

あぁ、まただ・・・自分自身をこうやって追い込む

謙「全国大会終わったからとはいえ、アイツ部長やから１，2年にも今後頑張ってもらうために

　色々指示せなアカン。白石がこのままやと来年の大会に希望はないようなもんや・・・」

いや、私のせいなのは事実だ・・・・

いっつも私だけ幸せになって、周りをダメにする

謙「だから、あんまり白石とは関わらんといて欲しい」

そうだ・・・私はこう言って欲しかったんだ

いつもなんとなく察して、急に関わらないようにしてただ相手を混乱させる

でも、こうキッパリ言ってくれた方がケリがつく

「うん、わかった・・・」

謙「え・・・・」

謙也君は少し間抜けな顔をした

ｸｽｯ自分から言ったのに

「その内こうしなきゃいけないことは分かってた

　それに私、たぶん後残り少ない人生だから私の最後のわがままとして受けとっておいて」

死ぬまでの残り少ない間だけでいいから誰かと毎日一緒に話して笑い合ったりして

すごしてみたかった・・・その相手が蔵ノ介君だった

ただそれだけ・・・・のはずだった・・・いつからだろうか、蔵ノ介君がヒーローのような存在に

なったのは・・・違う、初めて会ったときからだ。私と友達になりたいと言ってくれて

とても嬉しかった

謙「それって・・・Aちゃん・・・」

「謙也君には言ってなかったよね・・・私、癌なんだ」

謙也君はとても驚いた顔をしている。表情豊かだな・・・