26杯目 ページ28
.
.
私はこの場にふさわしい人間ではない
ここを出て自分の家へ帰らなければいけない。
私がここを去り、私は彼とまた
店員とお客の関係に戻る、それだけだ。
.
彼は私の連絡先を聞くことなく去って行った。
彼の気持ちは分からないが、彼なりの優しさだと思う。
義務感や拘束感を与えることなく
私自身の気持ちを尊重できる余地をくれたのだろう。
.
望んではいけないと分かっているのに
また明日も彼に会いたい、この気持ちが私をこの場から離れさせないようにしている。
私は一体、彼に何を期待しているのだろうか。
近づいても、こんな自分ではどうしようもないことなんて
わかりきっているのに。
本当の自分を見せたら拒絶されるに決っている。
理性では分かってる。
でも、もっと彼に近づきたいと思ってしまう。
人は都合のいいときだけ
神様に願い事をする。いるかも分からないのに。
願い事を自分の心の中で唱える、ただの自己満足のために。
叶うのは誰のおかげでもないし、叶わなくても誰のせいでもない。
だけど人はそこに何かしら意味や理由付けを必要をする。
神様のおかげだ、神様が見てくれていたんだとか
神様に認められなかった、見捨てられたとか。
別に何の因果関係もそこにはないのに。
そんなことを分かっていて何にも期待なんかしないと
言い張っているくせに、
無垢でいたい自分が気づかぬうちに出てきて
彼に会うことを許して欲しい。
と、心の中でたぶん誰でもない神様に言ってしまった。
誰への罪悪感でも謝罪でもない、自分が傷つかないための予防線だ
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 534人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「中島健人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
akarinngo(プロフ) - ☆さん» 修正させていただきました。わざわざ伝えていただきありがとうございます (2019年11月12日 12時) (
レス) id: fde78b4ce1 (このIDを非表示/違反報告)
☆ - 9杯目【と、少し恥ずかしいそうに】→「い」いらない、 30杯目【気にってくれた？】→気に入ってくれた、 38杯目【笑顔で手を降って】→振って、 40杯目【夜の仕事を初めて1年半】→始めて だと思います。 (2019年4月29日 18時) (レス) id: 44d28ad2ed (このIDを非表示/違反報告)
玲 - 更新楽しみにしてます！ (2016年11月13日 14時) (レス) id: 2ca0c5098b (このIDを非表示/違反報告)
もえ - 展開がどうなるのか楽しみです！なんかいいですね！ (2016年4月7日 16時) (レス) id: 1dea7b7788 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：akarinngo | 作成日時：2016年2月21日 2時
