よしのとよしの 2

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北人side 2023/5



　

『そうなの？』と聞くと頷いたから
本当らしい




さっきの割れたような音は
コップだったらしく
テーブルから水が滴ってる



手とか確認するけどケガはなくて
肩を撫で下ろしてると





「また来る、娘は逃げないでね？」





おばちゃんの威勢に負けたのか
男2人は店から出て行った





A「おばさん、北人くん…
ごめんなさい」



伊藤「あの人たち、初めて来たの？」



A「少し前に、1度…」



北人「何で言わないの！」



伊藤「彼が必死に教えてくれたんだよ！
何もなくてよかった…」



A「ごめんなさい」





割れたコップを拾って
ずれたテーブルと椅子を元に戻して
お店の片付けをしてから



おばちゃんにお礼して
同じタクシーで家に連れて来た



途中、無意識に
繋いでた手に力が入ってたけど
Aちゃんは何も言ってこなかった



荷物を置いて、飲み物を出して
Aちゃんを呼んで…





北人「何で何も言わなかったの」



A「ごめんなさい」



北人「『ごめんなさい』は分かったから
…頼りない？」



A「ううん」



北人「前はいつ来たの？」



A「北人くんが宮城にいて
夜、電話した日に…」



北人「元気なかった日じゃん

…お店で強く言ってごめんね
次は教えてくれる？」



A「はい」





今はなるべく優しく話してるつもりだけど
振り返ると、そーでもないな…



それに気づいて
『今も強かったね』と謝ろうと思ったとき






A「今は優しくしてくれて
ありがとうございます

父に電話してみてもいいですか？」



北人「うん、寝室使っていいよ？」





やっぱり、店での言い方強かったか、と
1人リビングで反省中



だめだ…
Aちゃんのことになると
余裕なくなる…

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