壱馬の声を聴かせたい 3

3-8. ページ8

壱馬side 2023/6





朝起きて仕事の準備中
グループLINEに
青木くんから衝撃的な言葉が…



『五十嵐ちゃんが退職した』





壱馬「は？！」



壱母「なにごとー？」



壱馬「Aが仕事辞めた…」



壱母「は？！」





電話かけてもLINEしても応答なし



いてもたたってもいられず
仕事行くまでに少し余裕があるから
Aの家へ急いだ



退職て…異動って話だったよな？
何を考えてるのかさっぱり分からん



もしかしたら
俺の前からいなくなるんじゃないか…



もう二度と会えないとか
そんなのあり得んからな…



家にいることを祈りながら
恐る恐るエントランスで番号を押す



手が震えてるのは
もう退去してて
エラーになるのが怖かったから



開いたドアに安堵して
玄関のロックも解除



家入って
いつもどおりの部屋に一安心



寝室にいてくれよ
そう願いながら開けたドア



丸まってる布団を見て
安堵でその場に崩れそうになるほど
体から力が抜けた



そんな焦って来た俺とは真逆に
『ふふ』って笑って
『早かったね』なんてのんきなこの人



辞めた理由を聞いて
俺と付き合うためだったことを知り



これまで以上の覚悟を決めて告白



そのままの体制で顔を寄せると
目を瞑ったのをOKサインと捉えて
触れるだけのキス





壱馬「ふふ、やっとだ」



A「ふふ、お待たせしました」





もっとしたいけど
止められる自信がないから
それだけにしてまた抱きしめた



抱き締め返してくれる腕に
幸せを感じて
今はこれで十分



いてよかった…

3-9.→←3-7.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す