壱馬の声を聴かせたい 3

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壱馬side 2023/7





命日前日の夜
またうなされるんちゃうか…と



心配できてみたけど
意外といつもどおり



それでも、寂しいって顔は所々あって
来てよかったと思いながら寝た



朝まだぐっすり寝てるAの横で
スマホのチェックしてると起きて



髭に手が伸びてきて
目を瞑りながらジョリジョリ





壱馬「あとで剃らな」



A「えー、剃っちゃうの？」



壱馬「嫌なん？」



A「男って感じで
かっこいいじゃん」



壱馬「ふふ
男ってのは髭以外で感じてよ

ただのオフやったらほっとくけど
今日は剃る、見納め」




ごめんなぁ
Aのご両親に初めて挨拶するから
きっちりしてくって決めてんねん



準備して俺の家で喪服に着替えて
お墓の前でご挨拶



彼氏に相応しいか
返ってくる言葉がないからこそ
絶対に幸せにしないと、と
気が引き締まった



お寺でHIROさんに挨拶したら
『プライベートだから
そんなにかしこまるな』って
新しい関係に少し戸惑いながらも
今日の予定が全て終了





A「もう1か所付き合って欲しい」



壱馬「ええよ、どこ？」



A「事故、現場…」





タクシーの中で繋いだ手



確か、今まで行ったことないって
避けてきたって、聞いた気がする…



進もうと思ってるんかな



現場近くで降りて
その場所に向かうけど足取りは重い





壱馬「無理することないと思う
来ようと行動しただけすごいよ」



A「…でも壱馬が一緒なら
心強いし、1人なら来れない」





俺が引っ張ることなく
自分の意思で進んできた足が止まって



繋いでた手に力が入った





A「ここらへん、らしい」

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