壱馬の声を聴かせたい 2

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Aside 2022/12





昨日の夜、頭の中がぐちゃぐちゃで
玲於から離れようと
家を出たけど



帰り道で
スマホがないことに気づいた



『待って』って言う玲於を振り切って
出てきた手前
引き返すことはできなくて



一昔前の人間は
スマホなんて持ってなかったんだから
どうにかなる。って朝まで過ごした



仕事の連絡はパソコンに
転送されるようにしてあるから
電話が気になるだけ



玲於届けてくれるかな
家行ったほうがいいかな
マネージャー経由で戻ってくるかな
そんな予想だったのに



まさかの…





『俺、開けて』



A「え、なんで？」





仕事行く準備中になったインターホン
画面には…壱馬？



目しか見えなくて
服真っ黒だから分からんけど…
多分壱馬





A「なんで？
またスッピンだし…」



壱馬「見たことあるからええやろ
はいこれ、預かってきた」



A「なんで？」



壱馬「ふふ
『なんで』ばっかりやな」



A「いや、だって
玲於の家にあったはずじゃ…？」



壱馬「昨日の夜返信ないから
心配で電話したら玲於さんが出て
こうなった」



A「端折りすぎで
間が気になるけど…
玲於変だった？」



壱馬「気になるなら
自分で会いに行っておいで

今日は事務所にいるってさ」



A「…なんか聞いた？」



壱馬「んー、ふふ
素直になりなさい

じゃ、行くわ、あとでな」



A「待って！
届けてくれてありがと」



壱馬「散歩のついでやから」





朝方人間じゃないくせに…
朝散歩なんかしないくせに…
わざわざありがとう



『素直になりなさい』って
絶対何があったか聞いてるじゃん



…てか、私今
2人から気持ち寄せられてるの？

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