壱馬の声を聴かせたい 2

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壱馬side 2022/12





また寝言かな？と思いつつ
起きてるんじゃないかと思って



ゆっくり髪を避けて
顔を確認すると



涙がこぼれた…



っ…こんなん見たら
置いて行けないやん



俺の服を掴んでる指を
外すのをやめて



代わりに
その手の上に手を重ねた



空いてる手で
まだ乾いてない涙を拭いて
優しく頭を撫でる



頑張ってると思うよ、俺は。



流れ星を見つけて
願い事ではなく



自分のことを報告したAに
ご両親から返事はなかったけど



少なくとも俺は
十分頑張ってると思うよ



帰るのをやめて
朝怒られるのを覚悟のうえで



『眠くない』と言ってたのに
一切起きない体を引き寄せて
そのまま俺も寝た



浅い眠りで
Aが少しでも動いたら
トントンして…を繰り返して…





A「んはっ…はぁ…はぁ…」



壱馬「…っ大丈夫？！」





突然ガバッと体起こして
俯きながら苦しそうに息をする背中



俺もすぐ起き上がって
背中さするけど返事がない…





壱馬「怖い夢見た？」





少し落ち着いて頷いて教えてくれたけど



まさか、毎晩こんなんちゃうよな…と
当たってほしくない疑問が浮かぶ





A「怖い夢見ただけ、大丈夫」



壱馬「結構見る？」



A「この時期ね」



壱馬「そっか…怖かったな」





『ふー』と吐いてから
顔あげて『大丈夫』



…だから、どこが大丈夫なん？
信じるわけないって





壱馬「なぁ…
俺いることになんとも思わんの？」



A「だって…」



壱馬「ん？」



A「だって…
『行かないで』って、言ったもん」



壱馬「っ起きてたん？！」



A「その時だけ起きた」



壱馬「ふはは かわいい」



A「頼ってみました、友達」



壱馬「よくできました
寝たふりされたけどな、ふふ」



A「また寝れそうだったから…」



壱馬「うん、寝れてよかった」



A「おやすみ！」




パパッとベッドから降りて
寝室から出て行ったけど…



おきるん？



顔は見えなかったけど
声的には照れてたと思う



照れさせることができて
まず1歩、距離縮められたかな、ふふ

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