壱馬の声を聴かせたい (ページ30)

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壱馬side 2022/11

家帰るとまだ起きてたおかんに
『これテーブルにあったよ』と
小さい紙を渡されて見てみると

壱馬「『不在中におじゃましました』
…しっかりしてんなぁ

あ、もしものために
家の鍵預けたから」

壱母「その人が
新しいマネージャーさん？」

壱馬「同い年なのに
すげー仕事できる人
TikTokに顔出てたん、見なかった？」

『あ〜あの美人さんが壱馬の〜』って
TikTok見返してるおかんを
リビングに置いて

名刺の裏のキレイな文字を
もう1回見返してから

部屋の大事なものを
保管しているところに仲間入り

・
・
・

翌日、RECでスリボが集まり
陸さんがブースに入って
先に終わった俺と北人で2人きり

…トイレ行こう

北人「逃がさないよ！
昨日Aちゃん大丈夫だった？」

…ばれたか
絶対いろいろ聞かれると思ったから
逃げようと思ったのに

壱馬「『大丈夫』って？」

北人「靴擦れ、痛そうだったから」

壱馬「気づいてたん？」

北人「2人がタクシー乗るときに
気づいたから
俺はどーすることもできなかった

壱馬は気づいてたんでしょ？」

壱馬「まぁな」

北人「荷物多かったけど
Aちゃん自分で運んだの？」

壱馬「いや、俺も家まで行った」

北人「そのあとは？」

［コンコン］

A「おはよ〜」

「「おはよ」」

A「おつかれさま
上手くいった？これ差し入れ」

北人「コーヒー飲みたかった
ありがと」

壱馬「ありがと、足大丈夫？
北人も気づいてたってさ」

北人「言ってくれれば
俺も荷物持ったのに」

A「心配かけてごめんね
今日はスニーカーだから大丈夫

応募企画でファンに届くサイン
必要だから今書いちゃって〜」

北人「キスしとこ、おまけ♡」

壱馬「今これオフショタイムやで」

A「あ！撮る！
北ちゃんそこでストップ」

北人「この人当たり
5秒もキスしてた」

A「ふふ、いいの撮れた
陸さんにも伝えてね、じゃ」

壱馬「差し入れありがとう」

Aちゃんが出てったあと
北人が肘当ててきたから
何？って向くと

北人「そんなにガン見してたら
好きですって言ってるようなもんだよ」

壱馬「そんなに見てた？」

北人「ずーっと見てた
好きなんでしょ？」

壱馬「…好き」

北人「ついに壱馬が恋か〜
何がその硬いガードを動かしたの？」

壱馬「存在かな
もう何もかもかわいく見える」