作る私と着る慎 4

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慎side 2023/3





壱馬「慎、あかん、触るな」





壱馬さんの言葉を聞いたあと
腕は後ろに組んだ



前にAが
『抵抗される時に
触ってほしいんだよ』って
言ってたのを思い出した



だから俺は壱馬さん達に任せて
立ってるだけ



本当は突き飛ばして離れて
一生目の前に現れないでほしい



思ったより強い力だし
相手が女性だからか
思いっきりいけないメンバー



その攻防戦を見てるAを
光司が背中に隠した



たぶん、これ以上見ないように
気を利かせてくれたんだと思う
光司、ありがとう



Aがこの部屋から逃げたら
俺らが付き合ってること
確定になるから動けない



Aの気持ち考えると
自分の無力さに腹が立つ





そんなこと思ってると
香さんが俺から離されて



同じタイミングで
光司がAの前から
避けたのが見えた



彼女じゃないなら
Aが隠れてるのも
おかしいからな



俺から離れた香さんはすぐに
Aの方を振り返って
様子を確認したから



Aの反応を見て
俺らが付き合ってるのか
判断するために
この騒動を起こしたんだと思う



光司のおかげでAは
この場から逃げることも
目を避けることもなく



香さんに1人の目撃者として
カウントされたはず



…実際は違うけど
うまく騙せた気がする





香「また明日
よろしくお願いします」





何もなかったかのように
ドアに向かって歩く香さんが



ただのデザイナーとして
この場にいるAの
横を通って出て行った



あぁ、またあの顔に戻ってる
海斗が実家に来た日と同じ顔





慎「A…」



A「大丈夫だから
みんな衣装確認して」



慎「A…ごめん…」



A「うん
隠さないといけない関係だから仕方ないよ」





俺はなんでこういうときに
落ち着かせてあげれる言葉が
出てこないんだろ



だからいつもハグしかできない



香さんの香水がついてる服を
脱ぎ捨てて



裸で抱きしめることしかできない
俺を許して

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