この“世”の醜さ、美しさ【呪術廻戦】

Nice to meet you ページ2

ガタン、という音で目を覚ます



とても長く、懐かし夢を見ていた気がする

俺が売り飛ばされて早13年



長く思われた時間はあっという間に過ぎていた


足を鎖で繋がれここの部屋を歩き回るのでさえ億劫になる


食事は人が口にするものとは思えないもの


おおかた、ここに住んでいる人の残飯だろう



ここに住む人……茶髪の男は、呪術師だ

確実ではないが、そうであろう



なんせ、五条家と繋がっているんだ




13年間


名前すら知らない、

この男はイラつく事に俺を殴り、犯す



俺にはそれを辞めさせることも、

泣くことも、

怒ることも出来ない



あの、昔に見た青い空は今はどうなっているのだろうか


・


・


・



男が客を連れてきた


俺が繋がれている部屋の隣

俺は扉の近くまで行き、隙間から覗く




黒い髪のおとこのひと



俺とは違う

黒い髪



俺は悟と同じ顔をしているらしい



だけど、俺には分からない


だって、悟のこと


覚えてないし、



自分の顔

見たことないから



自分の髪は1度も切ったことがないから

凄く伸びてる

邪魔なんだけど、

勝手なことをすると



きっと茶髪の男に怒られる、殴られる



黒い髪の男の人は茶髪の男と仲良さげに話している


そう思われたのは一瞬だった



そう、一瞬


ビシャっと壁や、床、天井に鮮やかな赤が撒き散らされる




あ、死んだ、殺された。





無惨な姿と変貌した茶髪の男。


刃物を持った、黒い髪の男の人。



なんで、こうなったのかよく分からない




黒い髪の男の人はこちらの部屋に向かって歩いてくる


バンッ！と勢いよく扉を開けられる


「お前……五条家のガキか？」



『…』


俺は答えなかった


否、

どう答えたらいいのか分からなかった

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