十輪目 ページ12
「もっと工夫しましょう。でないと……最高時速マッハ20の先生は殺せませんよ」
……この言葉、何度目だろうか。
この数日で嫌という程聞かされた言葉だ。
「本当に全部避けてんのかよ、先生！どう見てもこれただの B B弾だろ？当たってんのにガマンしてるだけじゃねーの⁉」
「そうだそうだ‼」
逆恨みとも言えそうな前原の訴えに、皆はぶーぶー言いながら追い風を立てる。
「……では弾を込めて渡しなさい。言ったでしょう。この弾は君達にとっては無害ですが…国が開発した対先生特殊弾です。先生の細胞を豆腐のように破壊できる。
＿＿あぁ、もちろん数秒あれば再生しますが。
だが、君達も目に入ると危ない。先生を殺す以外の目的で室内での発砲はしないように」
怪物はそこまで言うと、ボワァ……と、文字通り顔色を変えた。
「殺せるといいですねぇ、卒業までに。
銃と弾を片付けましょう。授業を始めます」
＿＿＿＿椚ヶ丘中学校、3-Eは暗殺教室。始業のベルが、今日も鳴る。＿＿＿＿
怪物の言葉と共に……チャイムが鳴り響いた。
「ねね、A。一緒に暗殺しない？」
弾を片付けていると声を掛けてきたのは、茅野さん……じゃなくて、カエデ。
「うん、やろやろ‼じゃ、休み時間とかに話し合お‼」
私が笑って言うと、カエデはパァアアアっとみるみるうちに笑顔になる。
………………可愛い……。
「うん‼……あ、渚も誘う？」
「あ、いーね、誘おう‼」
「「渚ーーーーーーっ‼」」
私とカエデは見事に声が揃う。
私達は顔を見合わせると、ぷっ……と吹き出すと、体を捩って笑いあったのだった。
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作者名：業猫。 | 作成日時：2018年4月16日 21時
