九輪目 ページ11
何だかんだ有り、教室のドアを開けるとイケメグこと我が愛しのメグメグを中心に、何かを話し合っているところだった。
「…あ、渚君、A。良かった。丁度“暗殺”の作戦練ってたところなの」
……暗殺？
私は忘れかけていた“昨日のこと”を思い出す。
「マッハ20だっけ？無理じゃない？一斉に射撃する位じゃないと…」
「それよ」
と、メグメグは私の言葉にニヤリと笑う。
「……？どういうこと？」
「HRの始まりの挨拶と共に一斉射撃するの。いくら初心者とは言え、いくらマッハ20であれ、殺せるはず」
メグちゃんは自信たっぷりに言う。
…ま、やるだけの価値はあるか。
「そうだね。了解。私もやれるだけの事はやる。…ね、渚？」
「うん」
渚は微笑んで言った。
…因みにこの日の射撃は失敗した。
＿＿＿＿＿＿＿＿数日後＿＿＿＿＿＿＿＿
HRの時間になる。
ドアの向こうからはペタ…ペタ…と、足音(?)が聞こえてくる。
そして、ドアが開く音に私達の緊張は最高点に達する。
怪物はパタン…と出席簿を教壇に置くと、
「HRを始めます。日直の人は号令を！」
と言った。
その言葉に渚が反応する。
「…、き」
……もうすぐだ。
「起立‼」
「起立」の言葉で銃を構える。
「気をつけ‼」
＿＿＿＿私達は、殺し屋。＿＿＿＿
私達は銃をいつでも撃てる様に準備を整える。
「れーーーーーーい‼‼」
渚のその言葉を合図に……途轍もなく大きな銃声と共に、沢山の弾丸が教室中に舞い始める。
「おはようございます。発砲したままで結構ですので出欠を取ります。磯貝君」
「……‼」
我らが完璧イケメンの磯貝君も、流石に声が出ない。
……何で、こんな中で出欠を取る余裕が有るのか。
「すいませんが銃声の中なのでもっと大きな声で」
「…は、はい‼」
「岡野さん」
「はい‼」
「片岡さん」
「はい‼」
銃声の中、何事も起こってないかの様に淡々と出欠確認が進んでいった。
「遅刻無し……と。素晴らしい！先生とてもうれしいです」
＿＿＿＿標的は、先生。＿＿＿＿
ペカーと光る怪物の顔とは裏腹に、私達の心は暗くなる。
「(速すぎる……‼)」
「(クラス全員の一斉射撃で駄目なのかよ‼)」
すると、怪物はニヤ……と笑い、
「残念ですねぇ。今日も命中弾ゼロです。数に頼る戦術は個々の思考をおろそかにする。目線、銃口の向き、指の動き。一人一人が単純過ぎます」
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作者名：業猫。 | 作成日時：2018年4月16日 21時
