第一章:偶々 ページ2
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『ニュースをお伝えします。
昨夜0時頃××町の湾岸沿いで殺人事件が発生し、50代男性の遺体が発見されました。
殺害方法が過去3件の殺人事件と同様であることと被害者が一貫して某暴力団体であったことから警察は連続殺人事件と捜査しており---
次のニュースです。
この度○○ホールで行われた新生劇団の公演が千秋楽を向かえ---』
「へぇ〜連続殺人?楽しそう!!
早く依頼来ないかなぁ!!みんな莫迦なんだから、早く僕の元に来ればいいのに!」
「乱歩さんの異能は素晴らしいですもンねェ…」
「はっはっはー!!
谷崎ぃ!僕を褒めても何も出ないぞぅ!!
まっ!僕が素晴らしいのは知ってたけどね!!」
某日。
いつも通りの日々。
武装探偵社員たちは、抗争を終え平凡な日常を過ごしていた。
穏やかな風が、彼等の間を縫っていく。
湿った雨に香を含んで、彼等の間を縫っていく。
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「何処かに良い川ないかなぁ…」
「…何云ってるんですか…」
少年――中島敦は、上司である太宰治と帰路についていた。
望んで楽に死ねそうな場所があれば目を輝かせる上司をなんとか思いとどまらせ、か細いため息をついた。彼と2年も組んでいるという国木田には敬意以外の感情を抱くことができない。
「おや、」
太宰がふと立ち止まる。
また良いスポットでも見つけたのかと呆れた眼差しを送ると彼の目線の先には1枚のポスターがあった。
「最近人気の劇団だ。ふぅむ。
【エドモン・ダンテス―復讐鬼―】
…巌窟王の話だね。」
「劇団…劇を上映するんですか?」
「そうか、敦君は見たことないのだものねぇ…」
見よっか、その言葉が発せられたのは偶然か必然か。
最後の2枚だったチケットを握りしめ二人は開演を待った。
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作者名:木戸 凛々 | 作成日時:2018年4月24日 1時