第九話 ページ10
相変わらず僕が理解できていないことを知ると、えーみーるさんの方はちょっと諦めたように笑う。
申し訳なくて空のティーカップに視線を落としていると、不意に2人が立ち上がった。
『ほんなら行こか。夕食は後でメイドさんに持って行かせようや』
『せやね、そうしよか』
こっちおいで、と言う風に手招きをするえーみーるさん。僕は慌ててカップを置いて立ち上がって、2人の後を着いて部屋を出ていった。
赤い廊下を、今度は顔を上げたまま歩く。かなり複雑というつくりではない様に思えるけど、同じような景色が続くし、曲がり角が多い。一瞬でも目を離すと2人と逸れてしまいそうで、けれど普段の生活ではまず見かけない雰囲気にキョロキョロしながら後ろを歩いていた。
『…なんか、なんか距離近いよなあ』
『トントンさんと並べて見ると雛鳥みたいやね、サイズ的にも』
『誰が親やねんっちゅーの』
とんとんさんとえーみーるさんは此方を時折振り返りながら談笑していて、先程の部屋より和やかな空気を感じる。僕は会話にこそ入れないけど、何となくほっとするような穏やかな気持ちになれた。
階段を上がっていくと、踊り場にガラス戸のない窓があるのに気がつく。思わずちょっと足を止めて外を見ると、濃い青色がどっぷりと空一面に広がっていて、星や月も良く見えた。
その下には暗い森が鬱蒼と広がっていて、その奥に赤い光が揺らめいているのがわかる。
ライトの様に点が瞬いているのではなく、何で言えば良いのだろうか、赤く薄い光の膜がちらちらと闇夜の中で輝いていた。
はてあれは何かしらと目を細めて窓の方へ寄ると、突然襟を掴まれ、強い力で後ろに引っ張られる。
バランスを崩して咄嗟に踏ん張り、何事かと後ろを振り返ると、この建物に来た時に最初に会った緑の人が此方を見下ろしていた。パーカーを捲った袖からは逞しい太い腕が見えていて、その腕は僕の首の後ろの方へと続いている。
あ、この人が引っ張ったんだ。とぽけっとしていると、彼は顔を顰めて何か喋り出した。
然し…もう言わずともわかると思うが、サッパリ通じない。とんとんさんとえーみーるさんも先に行ってしまった様で、2人の姿は見えなかった。
だんだん険悪な雰囲気になるのを感じてどうしようと焦っていると、不意にとんとんさんの大きな声が聞こえて肩が跳ねる。
体を捻って声のした方を見ると、階段の上の方からとんとんさんが身を乗り出しているのが見えた。
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ニノ(プロフ) - みずきさん» コメント有難う御座います。実は第七話にてエイリアンネタを入れるつもりでしたが、没となりました。勿体無くて消せておりません。面白いと言って頂けて嬉しいです、そして応援ありがとう御座います！多忙の身故、細々とですが続けさせて頂きたく思います。 (2022年10月8日 23時) (
レス) id: 36c64675ec (このIDを非表示/違反報告)
みずき - わぁ、夢主くんがエイリアン？なの初めて見ました！めちゃくちゃおもろいです！応援しとります！頑張ってください！ (2022年10月7日 20時) (レス) @page35 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニノ | 作成日時：2022年9月14日 1時
