第五話 ページ6
扉が開く音がして、ビクッと思わず背筋を正した。
心臓がドクドクと跳ね回る。兎に角、知らないうちに何かやらかしてるなら、謝らないと。
その一心で息を止める寸前の呼吸をしていると、豚さんと一緒に現れたのは、なんていうか、思っていたより優しそうな人だった。
目が真っ白で…ううん、よく見たらうっすら灰色？髪は色素の薄い茶色で、きっちり七三分けにしている。きつめのつり目のように見えるが、全体的に柔らかい雰囲気の人だった。
多分急に連れてこられたのかもしれない、小脇に本を抱えている。それも辞書みたいに分厚いやつを。
『トントンさん、彼が？』
『あぁ。何言ってるかさっぱりわからん。エミさん、通訳頼むで。』
『わ、わかりました。できるだけやってみます。』
彼らは二言三言言葉を交わした後、僕の向かい側、テーブルを挟んだ向こうにあるソファに並んで腰を下ろした。
いよいよだ、と思って、肩にぎゅっと力が入る。
『えーと…
「？？」
『！？何語やそれ』
『アラビア語です。トントンさんの話を聞いた感じだと、こんな感じかなって…』
『…エミさん、アラビア語話せるんか？』
『まさか！簡単な自己紹介だけですよ』
『話せるんかい』
えっ、うん？何？？
急に音？言語？が変わった気がするけど、そっちもよくわからなかった。ハル…？
…もしかして、通訳の人なのかしら。けど残念なことに肝心の言語は通じていないので、ちょっと首を傾げてからふるふると首を横に振る。
『…わからんみたいやな』
『えっ、そんなぁ…じゃ、じゃあえっと、Cao you understand my speaking English?』
「？？？」
『ダメっぽいな』
『うーん…』
「…えっと、ごめんなさい。何言ってるか、わかんない、です。」
なるべくゆっくりと話してみるけど、今度はあちらが揃って首を傾げてしまった。同じ言葉をもう一度繰り返してみるけど、やっぱり聞き取れない…っていうか伝わらないらしく、これは叱られる以前の問題が山積みだなと感じバレないように肩を落とす。
だって、此方の言葉も彼方の言葉もわからないなら、誤解を解きようがないじゃないか。
…兎に角、今は目の前の〈言語〉という大きな壁を壊すのに取り掛かることにした。
多分、お互いの名前くらいならわかるはずだ。…きっと…
＊＊
アラビア語はGL先生の翻訳で、英語は私の知識です。
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ニノ(プロフ) - みずきさん» コメント有難う御座います。実は第七話にてエイリアンネタを入れるつもりでしたが、没となりました。勿体無くて消せておりません。面白いと言って頂けて嬉しいです、そして応援ありがとう御座います！多忙の身故、細々とですが続けさせて頂きたく思います。 (2022年10月8日 23時) (
レス) id: 36c64675ec (このIDを非表示/違反報告)
みずき - わぁ、夢主くんがエイリアン？なの初めて見ました！めちゃくちゃおもろいです！応援しとります！頑張ってください！ (2022年10月7日 20時) (レス) @page35 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニノ | 作成日時：2022年9月14日 1時
