第四十七話 rbr視点 ページ48
舌ったらずな「ごちそうさま」が聞こえてそちらを見ると、真っ赤なチャーハンを残したままコウが手を合わせていた。
「もっと食べえや、足りひんやろそれじゃ」
「やめたれロボロ、辛いの苦手なのかも知らんやろ」
ほれほれと相手のスプーンを手に取って、赤いチャーハンを一口分掬って差し出す。パラパラとしたそれに掛けられた粉はどう見ても“味付け”の域を超えていて、コイツ味わからんのとちゃうやろな、という考えが一瞬頭を掠めた。
が振り払う。少なくともハンバーグは美味そうに食べていた、ならば単純に字が読めなくて分からなかっただけだろう。
普通分かりそうなもんやけどな、と先程こぼした言葉を頭の中で反芻させながら食べるのを待っていると、相手は漸く決心した顔でぱくりとスプーンを咥えた。
直ぐに顔が赤くなって慌ててコップの水を飲み干す。横で見ていたシャオロンはケラケラ笑っていて、チーノはちょっと気の毒そうに背中を摩っていた。おいお前さっきのビビリ様どこ行ったんや。
『かはぃ…』
「ほらー泣いとるやんかわいそうに」
「すまんて。ほら水」
『ありあろごらま…けほっ』
何を喋っているのか相変わらず分からないが、多分「辛い」とか言ってるんだろう。
当たり前や、掛けたのはよりによって一味唐辛子なんやから。大先生しか使わんやつ。何でコイツの目の前にあったのかは分からんけど…
「いやー、効果覿面やな！」
「お前かい！！」
いたわ犯人。どうやらシャオロンが悪戯で一味を移動させたらしい。呑気に笑っている。
コウはというと、また舌を水に浸す様にして飲んでいた。…正直、何回見ても少しゾッとする。
わかりやすく異形の姿をしているならばそれでも違和感はなかったろうが、どっから見ても人間である彼がそれを持っているのを見ると言いようのない違和感に襲われる。
長めの舌の先端、ホースの様になったそれの口を開け閉めし続けた後、やっと空になったコップを机に置いた。
チーノが水差しを持っておかわりがいるか聞いているが、相手の方はちょっと首を傾げた後横に振る。
徐に立ち上がったので、慌てて引き止めた。
「おいどこ行くんや」
『？？えっと…』
「ふ、落ち着けやロボロォ。食器持っとるやろ？」
「あ、あー…片付けるだけか。すまんな」
『…？どういたしまして…？』
咄嗟に反応してしまったのを謝ると、相手も不思議そうに会釈を返して流し場へ向かっていった。
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ニノ(プロフ) - みずきさん» コメント有難う御座います。実は第七話にてエイリアンネタを入れるつもりでしたが、没となりました。勿体無くて消せておりません。面白いと言って頂けて嬉しいです、そして応援ありがとう御座います！多忙の身故、細々とですが続けさせて頂きたく思います。 (2022年10月8日 23時) (
レス) id: 36c64675ec (このIDを非表示/違反報告)
みずき - わぁ、夢主くんがエイリアン？なの初めて見ました！めちゃくちゃおもろいです！応援しとります！頑張ってください！ (2022年10月7日 20時) (レス) @page35 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニノ | 作成日時：2022年9月14日 1時
