第三十一話 ページ32
賑やかだなあ。
「いただきます」を覚えた僕は、ただひたすら「しらめし」を食べている。甘くて美味しい。緑色の葉っぱがメインのサラダも美味しい。ソースが美味しいと言うより、食べたことない青っぽい味が不思議で堪らない。
黄色い卵焼きも甘くて美味しい。これはあんまり味が変わらないみたいで、でも僕が知ってるものよりずっと甘い。何が入ってるんだろう？ていうかそもそもこれは僕の知っている“卵”なのだろうか…？？
不意に哲学に突入してしまいじっと黄色くて四角っぽいそれを見つめていると、えーみーるさんが心配そうに声をかけてくる。
それではっと我に返って、あつくて甘い卵焼きを慌てて頬張った。
『あ、食べた。具合悪いわけとちゃうんか、よかった。』
『心配しすぎやてエミさん』
そうそう、今更かもしれないが、えーみーるさんは〈えみさん〉と呼ばれているらしい。
黄色いオーバーオールの人は〈しゃおろん〉、オレンジの見慣れない作りの服を着ている人は〈ろぼろ〉。
後から来た人もいて、その時々煙を吐き出している人は〈うつせんせい〉と言うらしかった。
ごくん、と卵焼きを飲み込んでから、今度はお肉に取り掛かる。目の前に座っているろぼろさんの真似をして、指で掴んでその骨付き肉に噛み付いた。
甘じょっぱいタレのついたそれはよく焼けていて、すごく美味しくて、食べたことある料理のはずなのに全然知らない味になっている。ここの料理人さんはすごい人らしい。
肉厚なそれの骨になかなか辿り着けずにいたら、ふとうつせんせいさんが此方を見ているのに気がついて、首を傾げた。
「……？」
『どうかしたんですか、鬱先生？』
『んー、いや、その子の歯がな』
『歯？』
『そう。いやあんまりジロジロ見るのも失礼かと思ったんやけど、』
次の瞬間、うつせんせいさんはぎょっとしたように目を見開く。
僕はそれを不思議に思いながら、
『え？骨食うん？マジ？？』
『歯ぁ頑丈すぎひんか？』
『え、コウくん大丈夫？歯ぁ欠けてない？』
「？？」
何か、マナー違反でもしちゃったかしら。
段々不安になってきて、けどお肉の魅力には抗えなくて、周囲から突き刺さる視線の中そっと肉を喰んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 318人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ニノ(プロフ) - みずきさん» コメント有難う御座います。実は第七話にてエイリアンネタを入れるつもりでしたが、没となりました。勿体無くて消せておりません。面白いと言って頂けて嬉しいです、そして応援ありがとう御座います！多忙の身故、細々とですが続けさせて頂きたく思います。 (2022年10月8日 23時) (
レス) id: 36c64675ec (このIDを非表示/違反報告)
みずき - わぁ、夢主くんがエイリアン？なの初めて見ました！めちゃくちゃおもろいです！応援しとります！頑張ってください！ (2022年10月7日 20時) (レス) @page35 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ニノ | 作成日時：2022年9月14日 1時
