第二十六話 ページ27
『…何してんねん、2人とも』
『お、トン氏』
「！とんとんさん」
不意に聞き覚えのある声がして、振り向いた。
丸っこいフォルムの頭に、トレードマークであろう赤いマフラー。今のところ僕が1番信頼している、とんとんさんがドアからちょっと内側に立っていた。
彼は僕を見るなり、ちょっと呆れたように苦笑する。
『おう、おはようコウ。寝坊助やな。』
「ね？」
ねゔぉ？すェけ？
“相手の発言を繰り返して言葉を覚える”という動作を覚えた僕は、神妙な顔をして口の中で何度かその言葉を転がす。
そんな僕を怪訝そうに見てから、とんとんさんはぐるっぺんさんの方を向いた。
『それはええねん。グルさん、いたいけな少年に何教え込んどるんや？』
『失敬な！ただ名前を教えていただけだゾ、なぁコウ？』
「？」
『ほらキョトンとしてないで呼んでみろ、〈グルさん〉』
「ぐ、ぐるさん、さん」
『なんか今最後に変なのついたな』
『それ、俺とエミさんを呼ぶときにもつけるで』
『何？とすると敬称かもなコレ』
今度は〈ぐるっぺん〉の名前を呼ぶ様に手振りで示されて、戸惑いつつも再度従う。何か発音が変だったりするのかな。
それからとんとんさんが何事か話すと、ぐるっぺんさんは僕の方から意識を逸らして返事を返した。
同時に解放された僕の手はぶらぶらと手持ち無沙汰になり、何やら重い空気の2人を他所に、後ろで手を組んでこっそり手遊びをしたり、絨毯や壁の模様を目で追ったりし始める。
話に入れない身としては退屈としか言えないのだが、昨日の己の様子を思い返すとまだマシかとも思った。
少なくとも、不安と恐怖と家恋しさに泣くよりは遥かに上出来だろう。
軈て2人は何かを結論づけた様で、とんとんさんは頷き、僕の名前を呼んだ。
『今日からお前は、ウチで保護することになった。部屋は今の客室から移すで。何か置いてきたもんがあるなら、後でメイドさんに届けさせたる。』
『保護している間は、この国の言葉を勉強してもらう。意思疎通ができる様になったら、今後の身の振り方を考えるといい。』
『勿論その前に考えてもええけどな。さて、それじゃ早速エミさんとこ連れてくで、グルさん。』
『ああ、頼んだ。コウ、しっかり勉強するんだぞ。』
「？？？」
誰か、本当に、僕に通訳してくれませんか。
手招きされ取り敢えずとんとんさんに着いて行き、ドアから出るところでぺこりとぐるさんさんに頭を下げた。
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ニノ(プロフ) - みずきさん» コメント有難う御座います。実は第七話にてエイリアンネタを入れるつもりでしたが、没となりました。勿体無くて消せておりません。面白いと言って頂けて嬉しいです、そして応援ありがとう御座います！多忙の身故、細々とですが続けさせて頂きたく思います。 (2022年10月8日 23時) (
レス) id: 36c64675ec (このIDを非表示/違反報告)
みずき - わぁ、夢主くんがエイリアン？なの初めて見ました！めちゃくちゃおもろいです！応援しとります！頑張ってください！ (2022年10月7日 20時) (レス) @page35 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニノ | 作成日時：2022年9月14日 1時
